政府はこれらの5社に個別の役割を与えており、バイドゥには自動運転、アリババにはスマートシティ、テンセントには医療診断におけるコンピュータビジョンの発展を促進させる。
2014年に創業のセンスタイムは、ディープラーニング技術を活用した画像認識分野で優れたテクノロジーを持ち、顧客は中国銀聯やチャイナモバイルなど400社以上。同社は今年4月にアリババから、6億ドル(約640億円)の資金を企業価値45億ドルで調達し、AI関連のスタートアップとしては世界最大の評価額となっている。
7月には、ソフトバンク・ビジョン・ファンドが同社に10億ドル規模の出資を目指していると「ブルームバーグ」が伝えていた。
AI分野の研究では、依然として米国が先行しているものの、中国政府は2030年までにAIテクノロジーで世界をリードすることを目標に掲げている。
2017年の中国のAIスタートアップ向けのベンチャーキャピタルの出資額は、米国を上回り、49億ドルに達した。一方で米国のAIスタートアップの調達資金の総額は44億ドルだったと調査企業「ABI Research」は述べている。
ABI Researchは、中国におけるAI分野への投資の高まりの背景には、成熟したAI技術の導入が商業的成功に結びつき、様々な利用ケースが生まれていることがあげられると述べた。
センスタイムは研究開発に莫大な資金を注いでいるものの、昨年には黒字化を果たしたという。同社のコンピュータビジョンテクノロジーは、スマートシティ領域や、金融や小売業、スマートフォンのアプリや監視カメラなど、多岐にわたる分野で活用されている。
先日「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」が掲載した記事によると、同社CEOの徐立(シュー・リー)は、世間でよくいわれる「中国のAI企業の大半は政府との契約に頼っている」との見方を否定している。
「間接的な契約を含めても、政府から得ている売上は全体の20%か、多くても30%程度だ」と徐は述べた。「当社がスマホメーカーや、自動車メーカー、インターネットのサービスプロバイダーと結んだ提携は、中国政府とは全く無関係だ」と彼は話した。
徐はさらに、センスタイムの売上の20%は海外からだと説明した。創業からわずか4年の同社は、中国のAIテクノロジーの最前線に立っている。