経済・社会

2018.10.17 06:00

女性たちの怒りがうねりとなるか、米中間選挙で試される「良識」


トランプ氏が大統領に就任した翌日の17年1月21日、全米各地で約300万人の女性が、トランプ氏の女性蔑視に抗議する「ウーマンズ・マーチ」を繰り広げた。この時、首都ワシントンで、筆者が話した参加者の多くが、意外にも「投票に行かなかったことを後悔している」と明かした。彼女たちからは「トランプもヒラリーも嫌い。自分が投票しなくてもヒラリーが勝つと思っていた」という答えが返ってきた。


2017年1月21日、ワシントンでの「ウーマンズ・マーチ」(Photo by Amanda Edwards/FilmMagic)

トランプ氏は、その後、現在に至るまで女性蔑視や差別発言を繰り返し、ポルノ女優との不倫疑惑にも見舞われている。移民やLGBT(性的少数者)の保護政策を撤回したほか、対外的には「グローバリズム」を拒否して、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」を離脱、中国やイランなどへの強硬姿勢を続けている。

米調査機関ピュー・リサーチ・センターが世界37カ国で行った世論調査によると、「米大統領が国際問題への対処で正しいことをすると信頼する」と考える人の割合が、世界25カ国の平均では27%にとどまった。この数字は、中国の習近平国家主席(34%)、ロシアのプーチン大統領(30%)にも及ばなかった。

日本の外交当局者は「中間選挙で敗れれば、追い込まれたトランプ政権の外交政策が一段と過激化する可能性がある」と警告する。

米メディアによると、上院は共和党が過半数を維持し、下院では民主党が優勢とみられている。トランプ氏は大統領としては異例の精力的な日程で全米各地を遊説し、自身への批判を「魔女狩り」と呼んで支持者を奮い立たせている。

中間選挙の投票率は通常40%前後で、大統領選のような派手さはないものの、今度ばかりは世界中が米社会と女性の「良識」を見つめている。

連載 : ニュースワイヤーの一本
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文=水本達也

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