ビジネス

2018.10.15

「情報銀行」 個人情報がリアルなお金にかわる時代へ

docstockmedia / shutterstock


国内大手広告会社が7月発表した調査結果によれば、回答者の3割以上が自家用車の有無や出身地等について開示しても良いと答えたといいます。しかしながら、クレジットカード番号や銀行口座、GPS履歴などの開示については、は5%を下回ったと言います。

こうした個人データの活用に対する考え方は、各国での温度差も激しく、独調査会社の調べによれば、便益のために個人情報を提供すると答えた人の割合は、中国が最多で全体の4割、最も慎重だったのは日本で、1割以下だったといいます。

個人で預けるか預けないかを判断する

情報漏えいに慎重な日本では、情報開示に対して、企業レベル、個人レベルでも消極的でしたが、今回の情報銀行設立の動きに代表される、ビッグデータ取引所設立、地方自治体が持つ個人データを外部の民間企業が活用しやすくする仕組みなど、ここにきて進展が見られています。

そこで「情報銀行」の設立や認定が進めば、失墜に敏感になり委縮する民間企業が、データ流通・活用を通じた新たなサービス提供に積極的に取り組みんでいくことが期待されます。

そして、この流れで意識されている大切なことが、個人データの個人を中心とした仕組みとすること、つまり、企業など利用者でなく「個人の意志が尊重される」ということです。

無論、こうした動きにはリスクも伴います。便利になることと、それによって取るべきリスクのバランスを考慮しながら、利便性を取るか、「個」を守るか、加速度的に進行する個人データ流通社会に向け、私たちは自身の立ち位置を決めていかなければなりません。

いざ情報銀行が開始となれば、預けるべきものは預け、守るものは守り、せっかくなら、センス良く活用してメリットを最大限享受したいものですね。

連載 : センスのいい「個人情報」の使い方
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文=坂本雅志

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