9月17日、東京・NHKホールで行われたシャルル・アズナヴールのコンサートに一人で行った。どうしても彼の歌声を聴きたかった。94歳の彼が来日コンサートを行うことは奇跡に近かったため、会場には多くのファンが押し寄せ、満席だった。
彼は、終盤に「Hier Encore」「La Boheme」などの名曲を披露し、約2時間、歌い続けた。言葉にできないほど、とにかく感動で胸が熱くなった。まさに、Hier encore, j’avais vingt ans(それはまるで昨日のことのように思える。あの時は20歳だった)の歌詞の通り、フランスにいた頃に戻ったようだった。会場一杯の観客が、彼の声を満喫し感謝の拍手を送った。それはとても素晴らしい夜だった。
しかし、突然、悲しい知らせが入った。来日コンサートから15日後の10月1日、彼はフランスで亡くなった。日本に、フランスに、世界に、限界まで表現することの素晴らしさを残してくれた。
10月5日に営まれたシャルル・アズナヴールの国葬に参列したマクロン仏大統領(左、Getty Images)
好きなことを続ける決意
一瞬一瞬を楽しみ、最後まで好きなことをし続けて、シャルル・アズナヴールは亡くなった。9月の来日コンサートから帰国した後のインタビューで「引退を考えていない」と明言するほど、音楽活動に精力的だった。
私は、これまで、今しかできないことを思い切り楽しみたいと常に思ってきた。しかし彼の死を経て、好きなことをし続けることを決意した。人間の死亡率は100%だ。だったら、生きている今、日々新たな楽しみを発見し、好きなことをして素晴らしい時間を積み重ねたい。死を怖がっている暇はない。
シャルル・アズナヴールは、私の人生のロールモデルだ。
The IDEI Dictionary 〜変革のレッスン〜
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