ジェイミー・ビートン(23)は5年前、ガールフレンドのシャーンドレ・クッシャーと共に「クリムゾン・エデュケーション」を立ち上げた。大学出願を支援し、科目指導を提供するスタートアップだ。
クリムゾンは現在、フルタイムの家庭教師やアドバイザーを204人、アルバイトを2300人抱えており、彼らと2万人の顧客をマッチングさせている。これまでに3700万ドル(約41億1400万円)を調達した。2016年に、企業価値が1億6000万ドルと評価された。
共にニュージーランド出身のビートンとクッシャーが起業したのは、アジア太平洋地域の生徒が、華やかなアメリカの名門大学に挑戦するのを手助けするためだ。「海外へ進学しようという意欲のあるロールモデルが、身近にいなかった」とクッシャーは言う。いまや、彼らはブラジルやロシアを含め40カ国の生徒を支援している。
生徒とアドバイザーをマッチングするシステムを築くうえで、2人が助けを求めたのは、恋愛マッチングサイト「eharmony(イーハーモニー)」のシステムを設計した心理学者のJ・ガレン・バックウォルター博士だ。クリムゾンは数百万ドルを投じ、生徒のスキルや性格に適したアドバイザーや家庭教師を選ぶシステムを築き上げた。
料金は各国で異なるが、テレビ電話での相談が1時間当たり50ドル程度。高校生がひと通り出願を終える頃には、累計費用が5000〜1万ドルにもおよぶという。
北米やオセアニアに加え、アジアや欧州にも拠点を構えるクリムゾンだが、競合も少なくない。また、「動画で学ぶだけなら、(教育サイトの)カーンアカデミーは無料で視聴できる」と語る大学進学支援企業トップ・ティア・アドミッションズのミシェル・ヘルナンデス共同社長のように、クリムゾンの事業に対して懐疑的な声もある。
ビジネスでは課題を抱えるものの、ビートンは現在、スタンフォード大学でMBAと教育学の修士号を取るべく学業に邁進している。修了後は奨学金を得てオックスフォード大学へ進学する予定だという。
彼にとって仕事と学業の両立は問題ではなさそうだ。大学の講義で使うケーススタディは、クリムゾンに絡めている。要するに同級生から無料コンサルティングを受けているようなもので、何より彼らは未来の社員候補にもなる。ビートンはこう語る。「組織として学び続けられるのは、良いことだと思いますよ」