「手本を見せることで指導したかった」とグッドウィン。「自分の生徒たちに、環境保護とビジネスは両立できることを示したかった」
オーストラリアの海岸部で生まれ育ち、常にサーフィンやキャンプ、スキューバダイビングに興じていたグッドウィンにとって、子ども時代のアウトドア経験はさまざまな意味で起業の基盤となった。「海から遠く離れていたことは一度もなかった。それにもちろん、濡れた砂まみれのタオルを手放したことも」とグッドウィンは冗談を飛ばした。
現在29歳のグッドウィンは、20代の大半を旅行と教職に費やしてきた。3つの大陸で働きながら、夏休みには旅行を重ね、これまで渡航した国は40カ国以上に上る。エボルブのアイデアが芽吹いたのは、この経験からだった。
「2つのことに何度も気づくようになった」とグッドウィン。「1つ目は、質と機能性が高く、見た目も良くて汎用性がある旅行用品がとても少ないこと。2つ目は、プラスチックごみ危機がいかに切迫しているかを、自分の目で確認したこと」
さまざまな場所(特にアジアや南太平洋)を旅するにつれ、プラスチックごみについての懸念は増していった。グッドウィンは、自分が学校で教えていることを自ら実践しようと決意。こうして生まれたのが、エボルブだ。
「エボルブは単なる商品ではない」とグッドウィンは語る。
「私は、教育者として素晴らしい若者と接しながら日々働くという恵まれた立場にいるため、未来の世代が抱く希望と恐怖についての貴重な知識が得られる。今の若者は、自分たちが受け継ぐ世界の状況におびえ、怒っている。プラスチック汚染などの環境問題を深く学ぶ際、生徒の間に時折湧き上がる絶望感を見ると、不安な気持ちになる」
プラスチックは分解までに450年かかると推定されている。グッドウィンいわく、考えられる解決策の一つは、リサイクル素材を使うことだ。エボルブのような企業でリサイクル素材の需要が生まれることで、埋め立て地に廃棄されるプラスチックごみの量が減り、水路汚染の削減につながる。
世界に良いインパクトを与える方法を模索するうち、子ども時代のアウトドアの思い出として、市販のマイクロファイバー製携帯タオルが気に入らなかったことを思い出した。この一見シンプルなタオルという単体商品に、グッドウィンは深刻な環境問題への解決策を見出した。エボルブのタオルは原材料の80%がリサイクルされたポリエステル(rPET)で、1枚に平均20本の飲料用プラスチックボトルが使用されている。