ビジネス

2018.09.25

豪高校教師がエコ商品開発 起業通じて生徒の手本に

(c)Evolve Travel Goods


リサイクルされたプラスチック素材で携帯タオルを作るブランドはエボルブだけではない。米カリフォルニア州の企業ノマディクス(Nomadix)も、リサイクルプラスチックを使った速乾型の携帯タオルを販売している。グッドウィンは、エボルブとノマディクスの違いを、そのデザインと、改良されたマイクロファイバーの織り方にあると説明している。

エボルブのタオルはさらに、未使用のポリエステルを使ったタオルと比べ、生産時の水使用量を90%、エネルギー使用量を70%抑えられる。また、炭素排出量はオーガニックコットンの半分ともされている。ただ現時点での難点は、リサイクルプラスチックの使用は未使用プラスチックよりもコストがかかることにある。

グッドウィンは「リサイクル素材の使用は、私たちのブランドの価値と企業理念に欠かせないものなので、これは受け入れられる」と語る。「rPETは決して完璧な素材ではないが、エコの視点から考えると現時点では最良の素材の一つだ」

教師から起業家への大きな一歩を踏み出すようにグッドウィンを促したのは、生徒たちだった。「生徒たちは政府、企業、消費者といったあらゆる人々が見せる責任感のなさに、心からショックを受けていた」

エボルブは今まで自己資金で運営されていたが、現在はクラウドファンディング大手キックスターターで追加資金を得ている。グッドウィンは今も教師として1日8時間の勤務しながら、エボルブの経営に仕事前後の6時間と週末の大半を費やしているが、本人いわく、その価値は大いにあるという。

2つの仕事が互いに刺激を与えていることが、支えになっているのかもしれない。エボルブの事業は生徒からインスピレーションを受けており、グッドウィンはそのお返しとして、自分のビジネスが生徒にインスピレーションを与えることを期待している。「エボルブは私の教育に、教科書からは得られない真実味をもたらしてくれる」とグッドウィンは語る。

「私は授業で生徒に、リスクを取って自分自身に挑むよう促している。企業経営はクラス指導と全く違う。学習曲線は非常に急だが、私の粘り強さと楽観的な姿勢が、生徒の模範となればと思う。誰かがやってみせるまで不可能に思えることは多い。この旅を歩む私の姿を見て、生徒は自分のポテンシャルに気づき、環境面での倫理観を犠牲にせずに成功を収める方法を見出せるかもしれない」

編集=遠藤宗生

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