元教師のマーは従業員と株主らに宛てた書簡を通じて、事業継承と企業統治(コーポレート・ガバナンス)に関する自社の詳細な計画を明らかにした。マーは1年後に退任し、ダニエル・チャン(張勇)最高経営責任者(CEO)が後任となる。
マーが自身の身内ではなく、ビジネスに関する鋭い眼識と実績を基準にチャンを後継者に選んだことは、注目すべき極めて重要な点だ。アジアの企業には世襲制度の歴史がある。だが、アリババはその決定によって、世界的企業が事業継承に関して進むべき方向性を示した。
マーは今後12カ月間、社内での引き継ぎが確実に円滑に行われるようにするため、チャンと協力していく。
展望は明るい
アリババは過去10年間、事業継承における透明性を確実に維持するため体制を築いてきた。社内の役割を明確に定義し、全ての事業分野で管理職が可視性を保てるようにするための統治構造が作られている。
その一つが、CEOのチャンが率いる最高幹部チームだ。副会長のジョー・ツァイ(蔡崇信)、最高財務責任者(CFO)のマギー・ウー(武衛)らが含まれる。
アリババの日常業務に責任を負うのは基本的に、このチームだ。マーは5年前から、このチームに積極的には関与していない。そのため投資家らはすでに、「トップにマーがいないアリババ」を知っている。マーの書簡によれば、アリババはチャンの指揮の下、13四半期連続で成長を維持してきた。
アリババがこれらを全て株主に報告しながら進めてきたこと、このプロセスが潜在的なリスク要因を生み出すことがないようにしてきたことは、覚えておくべき重要なポイントだ。