1. インクルーシブな方針と手順を組織内で徹底させること。過去の研究では、組織の方針や慣習が、性的指向に基づく差別があるとの認識に大きな影響を持つことがわかっている。性的指向や性自認に基づく差別を禁じる米連邦法はないが、組織は同性パートナーに対する福利厚生といったLGBTQ従業員保護策を整備すべきだ。特に重要なのが、こうした施策が具体的かつ成文化されていることだ。
2. 雇用主は差別に対して正面から向き合うべきであり、LGBTQの同僚を尊重できない従業員は容赦なく懲戒すべきだ。従業員に対する差別が放置され、何の処罰もないことを目の当たりにした他の従業員は、そうした行動が容認されるものと思ってしまう。ハラスメントや差別的な冗談・発言などは、どんなものでも即刻対処すべきだ。
3. 全ての従業員のためのインクルーシブな職場作りの方法について、一貫性があり継続的な従業員研修を実施するべき。研修は同性愛やトランスジェンダーに対する嫌悪に対処する方法に重点を置くべきで、従業員はLGBTQ問題に関する教育を受ける必要がある。
4. LGBTQ従業員をサポートし、組織への帰属感を持たせる効果的な戦略として、当事者からなる社員グループ(ERG)の結成がある。ERGは、メンバー同士が共通の関心事や経験を共有し、結束を強める素晴らしい方法だ。職場での支援体制が整っていれば、従業員にとって自らがLGBTQであることを伝えることに対する恐怖感が減るという研究結果もある。組織はERGを通じて、LGBTQコミュニティーへの支援の姿勢を示すことができる。
5. LGBTQコミュニティー支援の姿勢を示す別の方法として、LGBTQ関連の団体や慈善事業への寄付がある。また、地元で開催されるゲイ・プライド・パレードなどのコミュニティー支援イベントへ参加することも良い方法だ。
過去の研究結果からは、次のことが明らかになっている。LGBTQの人々が、自分はサポートを受けており安全だと感じるような環境を育てられる組織は、LGBTQの受け入れ態勢が整っていない組織と比べて競争力や顧客忠誠度が高く、最高の人材を引き付け、保持できるのだ。