「日本のカルチャーが役立つ」──シリコンバレーの起業家が拠点を東京に移したワケ

Game Closure 創業者兼CEO マイケル・カーター

インストール不要で、フェイスブックやLINEなどのプラットフォーム上で直接プレイできる──2016年11月、フェイスブックが発表した新機能「インスタントゲーム」。2018年3月には開発プラットフォームを一般公開している。

また同年4月にはLINEが、同社のゲームプラットフォーム「LINE GAME」で提供中のカジュアルパズルゲーム「LINE:ディズニー ツムツム」をインスタントゲームに提供することを発表するなど、近年、注目度が高まってきている。

そんなインスタントゲームにいち早く注目し、事業を展開している起業家がいる。Game Closureの創業者兼CEOのマイケル・カーターだ。

Game Closure はフェイスブックとパートナーシップを組み、インスタントゲームの開発に着手。「Ever Wing」は海外で大人気のインスタントゲームとなっている。そのほか、「LINE:ディズニー ツムツム」(インスタントゲーム)の開発も手がけている。

また、創業者であるマイケルも非常にユニークな人物だ。彼は、グーグルやマイクロソフト、アップル、ウォルマートなどフォーチュン500のテクノロジスタックの80%以上、世界中では毎日20億人以上が使用するネットワーク通信規格「HTML5 WebSocket(ウェブソケット)」の発明者であり、2億ドル以上を運用するスタンフォード大学発のアクセラレータ「StartX」の顧問を務めている。

これまでに300社以上の創設者に直接アドバイスし、多くの創設者は、マイケルのベンチャー企業創業者へアドバイスするBay Advisory Groupに対して推薦の言葉を残している。例えば、スナップチャットの創業者、エヴァン・スピーゲルはこんなコメントを残している。

「マイケル・カーターのアドバイスは、あらゆるタイミングで助けになった。特に印象深いのは、彼が私たちのチームを、ヤバイほど損失を出しかねないミスから回避させてくれたときだ。非常に助けになる人物であることはもちろんのこと、度胸があって頭脳明晰だと思う。絶対にコラボすべき人だ」

マイケルが立ち上げたGame Closureが8月、本社をシリコンバレーから東京に移すという。マイケルが来日していたタイミングで、インスタントゲームの可能性、そして日本に期待することを聞いた。



これからアジアはゲーム市場をリードする存在になるだろう

──東京に本社を移した意図を教えてください。

ゲーム市場にとって、アジアはとても重要な場所だと考えているからです。まず、経済面。ゲーム市場の半分以上はアジアで、いまも規模は拡大しています。

つまり、アメリカやヨーロッパにしか注目していない企業は、世界の半分以下にしか注目していないということです。アジアはこれから以前にも増してゲーム業界の中心であり、影響力の強いリーダーになるでしょう。

2つめの理由は、ゲームに対する理解の問題です。ゲームをソーシャルメディアにフィットさせる発想は、西洋にはほとんどありません。

LINEのアイデアは、とても素晴らしいものです。

友達とチャットしていながらタイムラグもなく自然にゲームに移ることができる。チャットツールをプラットフォームにするという、ユニークかつ奥深い発想ができる。だからアジアが重要だと気づいたのです。
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文=野口直希 写真=小田駿一

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