キャリア・教育

2018.09.04 07:00

「わかったふり」が通用しない AI先生のスパルタ教育

atama plus 稲田大輔


「みんな、受験勉強に時間をかけすぎなんですよ」
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稲田がatama plusを起業したのは、教育を変え、変化する環境の中で活躍する人材を育てたいと考えているからだ。現在の日本の教育システムは、100年前の社会に合わせて設計されたもの。それは例えば「工場でマニュアルに沿って間違いなく製品を作る人を育てるための教育」だ。

稲田には、現在の日本の教育への危機感がある。

「この先、求められるのは、新しいアイディアを生み出し、仲間を引っ張るような人材。そうした人をたくさん育てることが教育に求められている。100年前のまま“富岡製糸場”で活躍する人を作るための教育を続けていたら、グーグルで活躍する人は作れない」
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では、グーグルで活躍する人には何が必要なのか? 稲田は基礎学力に加えて、プレゼンテーション、ディスカッションといった社会で生きるための力が必要だと指摘する。

「今の日本の学校や塾は、基礎学力の習得に時間を費やしている。一方、社会で生きる力をつけようとすると、基礎学力が落ちてしまう。それが『ゆとり教育』です」

近年は社会で生きるための「アクティブラーニング」が注目されるが、教員にも子供達にも、新しい科目を追加する余裕はない。

「みんな、受験勉強に時間をかけすぎなんですよ」

基礎学力の習得にかかる時間を短くし、残った時間をアクティブラーニングに使えばいい。稲田がatama plusを起業した背景には、AIで効率よく基礎学力を身につけ、次世代で活躍する人材を育てたいと言う思いがある。

「塾でこれがスタンダードになったら、学校も変わるかな。『黒船』に弱い国ですから」


稲田大輔◎東京大学大学院情報理工学系研究科電子情報学専攻修了、2006年三井物産入社。ベネッセブラジル執行役員、海外Edtech企業への投資業務を手がけた。2017年に大学の同級生である中下真(元リクルート中国現地法人社長)、川原尊徳(元マイクロソフトエンジニア)とatama plusを起業。

文=大木戸 歩 写真=苅部太郎

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