AWSはアマゾンにとって最も収益性が高い部門となっており、2017年の第4四半期決算では前年同期比45%増の51億ドル(約5600億円)の売上を記録した。
アマゾンがイノベーションセンターの拠点に選んだのは、テック系企業が集まる新北市だ。新北市は起業家や投資家に友好的なスタンスを打ち出しており、2011年以来、2万人の起業家が新たに流入した。
アマゾンのイノベーションセンターではAWSに無料でアクセスできるだけでなく、アマゾン社員の指導も受けられる。小規模なスタートアップ企業がB2B事業へ進出する足がかりも掴めると市の政策担当者は話した。
「イノベーションセンターの設立により、人材や投資を呼び込み、市の国際的地位を高める効果が期待できる」と新北市は声明で述べた。
しかし、アマゾンが台湾に期待するのはAWSの顧客基盤の強化だけではないと、調査企業「IDC」のLeon Kaoは指摘する。「台湾には『AppWorks』などの有力なスタートアップアクセラレーターも多い。電子エンジニアリング部門で優秀な人材を抱える台湾は、アマゾンの今後の事業戦略を考えた場合、非常に重要な拠点となる」とKaoは話した。
現地メディアによると、アマゾンは将来的に人工知能(AI)のR&D拠点を台湾に設立する考えだという。IBMやグーグル、マイクロソフトなどの競合も既に、AIの開発拠点を台湾に設ける計画を明かしている。優秀な人材がシリコンバレーよりも安価なコストで雇える点も台湾のメリットだ。
ブルームバーグの報道によると、アマゾンは中国でも同様な試みを開始しており、現地のテック系人材の育成を計画しているという。同社はアレクサの開発などにあたるエンジニアを、数百名規模で採用したい意向だという。