ビジネス

2018.08.14

なぜ、元スタバの人材開発マネジャーはスタートアップに参画を決めたのか?

(左)元スターバックスコーヒージャパンの目黒勝道 (右)ラブグラフの駒下純兵




家族の節目に「また使いたい」と思ってもらえるサービスに

──現在の人材育成に対して、ユーザーからの評価はもらっているのでしょうか?

駒下:ゲストからのフィードバックとしてはレビューを頂いています。いつも長文のレビューを頂くのですが、ラブグラフの顧客ロイヤルティを数値化した指標「ネットプロモータースコア(NPS)」は67です。

目黒:一般的な日本企業ではNPSポイントはほとんどマイナスなので、驚異的な数字です。

──どのような点が顧客ロイヤルティにつながっているんですか。

駒下:写真の満足度や事前のコミュニケーションを丁寧に行なっていることもありますが、フォトグラファーの人柄が大きいですね。「ちゃんと名前を覚えてもらえた」「〇〇さんに撮影してもらえてよかった」というご意見をよく頂きます。

つまり、撮影現場でのゲストとのつながりを大事にする姿勢が評価されているのではないでしょうか。シャッターを切るカメラマンと撮られるだけのお客様という関係性に留まらないスタイルこそが、ラブグラフの強みだと思っています。

こうしたスタンスを創業からブレることなく実現できているのは、採用に妥協してこなかったから。写真の技術も精査しますが、ビジョンに共感してもらえない場合は技術があっても採用しません。その一方で、ビジョンは共感しているけれど写真技術が追い付いていない場合は、社内で育成することもあります。

作品と志望動機もチェックしますが、決め手になるのは笑顔でしっかり質問に答えられるかどうか。写真撮影に慣れていないゲストを安心させられるのは、明るく笑顔の多いフォトグラファーのはずです。

──最後に、今後の目標をお聞かせください。

駒下:実は、最近はカップルでの撮影よりも家族撮影の需要が高い。お宮参りやハーフバースデーなど、お子様が生まれたばかりのご家族の利用が増えてきている。



写真館やスタジオ撮影が握っていた家族写真のニーズが、お客様それぞれに合ったスポットで出張撮影する形に変化しているということの表れだと思っています。人の人生に伴って節目節目でリピートしていただけるようなサービスにするのが直近の目標です。

目黒さんに顧問として入っていただいたのは、ラブグラフを「ブランド」にしていきたいからです。スターバックスがほかのコーヒーチェーン店、缶コーヒーとは格別の体験を提供しているように、「ラブグラフだから使いたい」と言ってもらいたい。

写真が上手なカメラマンを揃えて撮ってもらいたいお客様につなげるだけではただのカメラマン派遣会社になってしまうし、リーズナブルで便利だから、という理由で選ばれても意味がないと思っています。写真を売るのではなく、素晴らしい時間を提供できるサービスにしたいですね。

文=野口直希 写真提供=ラブグラフ

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