「用途や解決すべき問題に合わせて最適なブロックチェーンのシステムを使っていくことが求められていると思います。しかし、金融が絡むビジネスに関しては、信頼性が担保されていることが絶対です。そして仮想通貨全体で言えば、現段階ではビットコインが最も法定通貨を代替する可能性が高いと考えています」
ビットコインが決済手段として世の中に浸透するには何が必要か。大熊は「実需」の重要性を強調する。
「実需が出てこないと、通貨として安定しません。まだボラティリティ(価格変動の度合い)が高い。実需を喚起するような、つまりユーザーが使いたくなるような、決定的な『解』が必要になってきています」
2010年5月22日、1人のプログラマーがビットコインを使ってLサイズのピザを2枚購入した。支払額は1万ビットコイン(当時約25ドル相当)。現在の価格で約8300万ドルである(5月14日現在)。
この逸話にはビットコインを巡る現状が垣間見える。確かに、ボラティリティは激しい。とはいえ、簡単に使える決済手段として成立しているのも確かだ。歴史が浅いから課題はあるものの、実需があれば課題解決も早まるだろう。渡邉は言う。
「ビットコインは他のブロックチェーンとは違って、方向性を見失わずに進んでいます。セキュリティを重視しているため、開発スピードこそ亀の歩みですが、着実に一歩ずつ前に進んでいますよ」
大熊将人◎デジタルガレージ執行役員SVP兼「DGLab」 COO(最高執行責任者)。三菱商事にて海外ベンチャー投資、ファーストリテイリングにて米国欧州を中心に海外オンラインコマース事業責任者を歴任し、2016年よりデジタルガレージに入社。DGLabにてブロックチェーン、人工知能を中心とした事業開発、国内外ベンチャー投資を推進中。
渡邉太郎◎デジタルガレージの研究開発組織「DGLab」のBlockchain CTO。2000年デジタルガレージ入社後、06年に同グループのイーコンテクスト社にてシステム統括を務める。10年に再びデジタルガレージに戻り、Twitter公式ガイドサイトの開発・運用を統括。16年DG Lab設立時にBlockchainカテゴリの技術責任者として着任。