Bordeaux Fête le Vinは、ボルドー市内を流れるガロンヌ川の河岸に沿って設営されたメイン会場を中心に行われる。会場内には11のワインテイスティングパヴィリオンのほか、フードパヴィリオンやフードトラック、ワインに関するさまざまなイベント会場が点在している。
前回2016年の開催時には、5日間で60万人が訪れたそうだが、今回はおそらくそれを凌ぐ訪問者数に達するという。ワインの街、ボルドーが最も盛り上がる5日間といっても差し支えないだろう。
20回目の今回は、ヨーロッパ中から多くの帆船がここボルドーにやってきていた。30隻もの帆船がガロンヌ河を埋め尽くす光景は圧巻だ。そもそも、ボルドーはワインの生産だけで発展してきたわけではない。ワインをつくり、それをガロンヌ川から船に乗せて世界中に輸出できたからこそ、ワインビジネスで巨万の富を得たのだ。
ボルドー市内を流れるガロンヌ川
つまり、ワインと船はボルドーにとって切ってもきれないものだから、そのような感謝も込めて、ヨーロッパの各地から帆船が招待されたのかもしれない。そして、祭りのなかでも、この帆船に乗ってのガロンヌ川クルーズがたいへんな人気を博しており、予約がいっぱいで、残念ながら僕は乗船することができなかったのが悔やまれる。
1枚のパスで12杯のワインを
さて、ワインの祭典Bordeaux Fête le Vinを楽しむために、まず何をしなければならないかというと、もちろん入場料の支払いである。早割なら16ユーロ、当日だと21ユーロだ。その金額を払うと、ワイングラスとテイスティングパス、首にワイングラスをかけるためのグッズがもらえる。ワインのイベントでずっとグラスを持ち続けるのはたいへんなので、このようなグッズはとてもありがたい。
ここで配られるテイスティングパス1枚で、12杯分ものワインを飲むことができる。テイスティングパヴィリオンの数は11個なので、それぞれから1杯ずつ自分が飲みたいワインを選び、最後に1杯、お気に入りのパヴィリオンでお代わりができるというシステムだ。パヴィリオンはボルドーの産地ごとに分かれているので、このパス1枚でボルドーの広範囲なエリアのワインを飲めることになる。
一度に多くの種類を飲めるのはありがたいが、なんといっても困るのは、どのワインを選ぶかである。ひと口にボルドーワインといっても、お馴染みの赤、白、ロゼをはじめ、甘口の白、クレマンというスパークリング、さらにはクレレという甘口のロゼまで、実にさまざまなワインが揃っているのだ。ボルドーワインの底力を感じさせる素晴らしいラインナップである。
会場内では、みな思い思いのスタイルでワインを楽しんでいた。テイスティング中のワインについて語り合う老カップルや、お揃いの衣装を身にまといワインを楽しむムッシュたち。若い男女はテーブルを囲んで、こちらがカメラを向ければ期待以上のリアクションを見せてくれる。
ワインを飲むことができない子供たちは、ボルドーの観光名所である水の鏡で水浴びをしたり、輪投げや射的などのゲームをしたりと、来場者を退屈させないアトラクションも充実している。とにかく、さまざまなエンターテイメント要素が、このワインの祭りには詰まっているのだ。