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2018.07.19 08:00

為末大も期待する、「スポーツ観戦」第3のカタチ

ookami CEO 尾形太陽(左)、為末大(中央)、ookami CTO 中村文哉(右)

ookami CEO 尾形太陽(左)、為末大(中央)、ookami CTO 中村文哉(右)

スポーツ観戦の方法といえば、球場に足を運ぶか、テレビで観るのが一般的だった。ロシアW杯の試合も夜遅くまで起きて、テレビで観た人が多いだろう。

しかし、スマートフォンの登場が私たちのライフスタイルを変えていったように、スポーツ観戦のあり方にも変化の兆しが見え始めている。スポーツ観戦、第3の選択肢として注目を集めているのがookamiが開発する、スポーツライブエンターテインメントアプリ「Player!」だ。

「Player!」はメジャースポーツのニュースや試合速報に加え、お気に入り登録をしたチームの速報を受け取れると同時に、同じ試合に関心を持つ他のユーザーとライブ中のコミュニケーションが取れるツール。

去る6月20日、運営元のookamiはNTT ドコモ・ベンチャーズみずほキャピタル、朝日メディアラボベンチャーズ、アシックス・ベンチャーズらからシリーズBラウンドの調達を発表。金額は非公表だが、数億円に達すると見られている。

スポーツ中継の中で試合経過を楽しむことができると同時に、ユーザー同士で熱狂を共感できるのが「Player!」の特徴だが、なぜ、このアプリは立ち上がったのか。そして、同社のエンジェルラウンドで投資をした元プロスポーツ選手の為末大さんはこの事業のどういった側面に可能性を感じたのか。為末氏とookamiのCEOである尾形太陽氏の両者に2人の出会いから「Player!」の可能性、そしてその未来図について話を聞いた。

「専門家の空間」から「ファンコミュニケーション」の場へ

──尾形さんが「Player!」を開発しようと思った経緯は何だったのでしょうか? エンジェルラウンドで為末大さんが参加していますが、為末さんとの出会いについても教えてください。

尾形:10代の頃から、「スポーツビジネスの領域で新しいことを立ち上げて大きな成功する」という思いは持っていました。在学中にレジャーイベント事業を仲間と立ち上げたのですが、社会に大きなインパクトは残せないと感じ、チームは解散。その後、自分が最も尊敬する事業家である孫正義さんの組織を見てみようと思い、卒業後はソフトバンクに就職しました。

入社してから11カ月経ったタイミングで、「はやく自分で事業をやりたい」という思いが強くなり、ソフトバンクを退職。ookamiを創業しました。スポーツビジネスの領域で何かやることは決まっていましたが、具体的なことは決まっておらず、事業を考える中ですごい人を仲間にしないといけない。そう思い、頭の中にパッと為末大さんの名前が浮かんだんです。そこで無理やり連絡して半ば強引に会ってもらいました(笑)。

 

最初はお問い合わせフォームから連絡をしたのですが、当然、門前払いで。ダメ元でツイッターで、「会ってください」と送ったら、会えることになりました。

当時はPlayer!のPぐらいしか事業内容が考えられていなかった状態でしたけどね。

為末:当時、株式会社侍はタレントビジネスがメイン事業となっており、僕がイベントなどに登壇して出演料をもらうことしかしていませんでした。尾形くんが考えていたBtoCのビジネスについては、これといった知見もなく……。正直、よくわかっていなかったです(笑)。ただ、「頑張ります!」と力強く言っていた尾形くんのことは応援したいなと。これが契機ではないですが、今となってはスポーツ業界にどんなベンチャーが出てくるかというのはすごく興味があります。その入り口が彼との出会いだったというのはありますね。
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文=竹中 玲央奈 写真=なかむら しんたろう

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