ビジネス

2018.07.19 08:00

為末大も期待する、「スポーツ観戦」第3のカタチ


──その流れでお聞きしますが、ユーザーにはどう使って欲しいと思っていますか?

尾形:スポーツ観戦において“見逃してしまう”という瞬間は必ずあると思っています。好きなチームや選手の試合日を忘れていたり、間違えていたりと。Player!ではお気に入りのチームや選手ををフォローしておけば試合開始の通知が送られてきますし、得点シーンなどその人が欲しい瞬間を教えてあげることができます。

例えば、サッカー日本代表の試合なら普通に調べれば出てくると思うのですが、特定の大学や高校のサッカー部の結果をOBがずっと追いかける、というようなこともできます。ニッチな欲求を満たせるようになっているので、潜在的にも、顕在的にも欲しい情報を教えてあげられます。ここをうまく使ってもらえるようにしたい。

為末:開始や結果だけでない部分も伝えられると良いですよね。例えば特定の陸上選手が気になっているとして、日本選手権で誰の隣になるかという情報自体が大きな意味を持っていたりするんですよ。「あいつが外側に行ったか!」みたいな。映像を見られてない人にそういう部分を伝えられるのも良いですよね。

尾形:そこについては、今後取り組まなければいけない部分ですね。いままでは「ボルトが金メダルを取りました」というお知らせはテレビの速報でも知れますし、誰でも受け取れたと思います。ただ、「ボルトが走り出しそうですよ」「ボルトがポーズとって盛り上がってますよ」など、テレビとか現地に行かないと見られない瞬間を教えてあげられると新しさが出せるんじゃないかなと思っています。



──アメーバピグだったり実況掲示板だったり、バーチャル空間で盛り上がるというのは昔からありますよね。「Player!」でも例えば映像が出ていない学生スポーツの試合の様子をそこに集まるユーザーが書き込むコメントを見ることで楽しさを味わえるというのはあると思います。

尾形:日本人の民族性なのかなと思います。その観点でいうと、「Player!」のアジアにおける可能性という部分は挑戦しないといけないなと思いますね。自分たちがいま持っている強みのひとつは学生を含めたアマチュアのコンテンツを集めていること。もうひとつは若い子の人気をつくっていることです。

この2つを考えるとアメリカよりもアジアにヒットするのではと考えています。スポーツがプロ化されればされるほどアマチュアスポーツの裾野が増えていくので、そういう観点からアジアは可能性がある。裾野のメディア化とアジアっぽいコミュニティのつくり方ができるといいなと思っているので、どこかで挑戦しないといけないなと感じますね。

──為末さんはPlayer!!!は将来的にどうなっていってほしいと思っていますか?



為末:とにかく大きくなってほしい。スポーツ領域のベンチャーが育っていくのは事例としてあまりないですからね。スポーツファンは何かしらの不満を抱えている方が多いと思う。好きなんだけど、どこかもどかしい。そういう思いを持っている人が多い産業なんです。

そのもどかしさのところを取り除いた瞬間の熱狂は他の業界に比べて大きい気がするんです。さまざまな場所で、静かにしてたところから熱狂が生まれるとすごい世界が生まれると思います。そこに向かって頑張ってもらいたいですね。

文=竹中 玲央奈 写真=なかむら しんたろう

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事