ビジネス

2018.07.14

中国のアニメ好き熱狂の「ビリビリ動画」 収益化には苦戦

GaudiLab / Shutterstock.com


利用者は「広告を表示するな」と抗議

同社の偏った収益構造は当面続く見通しだ。中国では長年、海賊版コンテンツが横行し、ユーザーがコンテンツ視聴に料金を支払うようになったのはつい最近のことだ。コンサルタント会社「iResearch」のアナリストのGuo Chengjieは、「ビリビリ動画が有料会員から大きな収益をあげるのは、しばらく先になる」と予測している。

競合他社の多くは、広告収益を主な収益源としている。しかし、ビリビリ動画は2016年に日本のアニメで広告を表示したところ、多くのユーザーが「広告を永遠に表示しない」という約束を破ったとして猛烈に抗議した。Chenはすぐに謝罪し、それ以降ビリビリ動画が扱う広告はバナー広告のみとなっている。

こうした中、iQiyiやYouku Tudou、Tencent Videoはアニメコンテンツを強化し、テンセント傘下の動画共有サイト「Kuaishou(快手)」がビリビリ動画のライバルである「AcFun」を買収するなど、競争環境が激化している。

Analysys InternationalのMaは今後、コンテンツのコストが上昇すると指摘する。
しかし、IDGのTongはビリビリ動画の先行きに対して楽観的だ。ビリビリ動画は中国で最も人気のアニメ配信サイトであり、他社が簡単に模倣できないエコシステムを構築している。

一方で、収益面に関しては新たな手法を考える必要があるとTongは指摘する。「テンセントなどの大手が独占していないニッチなジャンルのゲームを、もっと配信する必要がある。収益化はまだ初期段階だが、このまま高いエンゲージメントと長い滞在時間を維持できれば、いつかは収益化を図ることができるだろう」とTongは話した。

編集=上田裕資

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