企業データベース「Pitchbook」によるとBloomsburyの社員数は5名で、これまで累計で190万ドル(約2億円)を調達している。
Bloomsburyはロンドンのアクセラレーター「Entrepreneur First」出身の企業で、「テッククランチ」の報道によるとフェイスブックがアプローチした時点で、まだ収益化の道を見い出せていなかったという。マーク・ザッカーバーグは当時、2300万ドルから3000万ドル(約33億円)で買収提案を行なったとされている。
Bloomsburyが開発したCapeは、APIの形でサードパーティーに提供され、テキストの内容に関する質問の答が得られる。フェイスブックがBloomsburyに興味を持ったのは、フェイクニュース問題の解決に役立てたい意向からとみられている。BloomsburyのCTOを務めるSebastian Riedelは、マシンラーニングと人力を組み合わせ、フェイクコンテンツを発見するプラットフォーム「Factmata」と密接な関わりを持っていた。
FactmataのCEOのDhruv Ghulatはフォーブスの取材に対し、既にフェイスブックなどのソーシャルメディア企業に、フェイクニュースを追放するためのツールを提供していると述べた。
Ghulatは2018年のフォーブスの「30アンダー30」に選出されており、Mark Cubanらのビリオネアから100万ドルを調達している。彼によるとFactmataのアプローチは人力とAIを組み合わせ、フェイクニュースを追放するものだという。
オックスフォード本拠のAI企業「Serelay」は、ツイッターなどに投稿される偽の画像の発見を行なっている。同社のRoy Azoulayによると、フェイスブックがフェイクニュースを追放するためには、複数のソリューションを組み合わせることが必要だという。
「AIは何にでも使える魔法の杖ではない」と彼は述べ、マシンラーニング技術でフェイク写真や動画を発見するのはかなり困難であると話した。ただし、Azoulayは今後フェイスブックが徐々にシステムに改修を加え、目的に近づいていくはずだと述べた。
しかし、フェイクニュースの追放に向けては数年がかかるかもしれない。フェイスブックは2018年1月、ニュースフィードのアルゴリズムの抜本的な改編を宣言し、家族や友人、地域ニュースなどの信頼性の高い情報を優先的に表示すると述べた。同社は膨大なコンテンツを処理するにあたり、社内のリソースのみならず、外部のスタートアップの力も借りようとしていることが、今回のBloomsbury買収から見えてきた。