真のVR元年はもう少し先ではないか──そう思っていたが、最近になって大きく状況が変わり始めてきた。VR世界と現実をテーマにしたスティーブン・スピルバーグ監督のSF映画『レディ・プレイヤー1』が大ヒット。映画を観た多くの人がVR世界「OASIS(オアシス)」に思いを馳せた。
そして2018年5月1日、誰でも使えるVRヘッドマウントディスプレイと言うべきデバイスが登場。Oculus社の「Oculus Go」だ。
ハイエンドPCや対応スマートフォンがいらないスタンドアローン型であり、価格は2万3800円(32GBモデル)。高性能でありながら、手頃な価格が人々の心を掴み、発売開始直後からSNS上で「Oculus Go」に関する投稿が目立つようになった。
VRに対する動きが大きくなり始めたいま、Forbes JAPANはOculus Japanチームの立ち上げに携わり、VRのエヴァンジェリストとして活動するエクシヴィ代表の近藤義仁(GOROman)を取材。いまVRが多くの人の心を射止めている理由と、その活用法を聞いた。
そう遠くない未来に実現する、VRによる「革命」とは。
視界の全てが、スクリーンになる
──まず、GOROmanさんは普段どうやってVRを楽しんでいるのでしょうか?
ネットフリックスで映画を観るときは、ベースなどの低音に併せて振動するソニーのスピーカー「SRS-WS1」を肩にかけると映画館みたいな迫力になりますね。。写真に写っていませんがフィンランド製の枕型スピーカー「HUMU」を併用するともっと凄いです。
僕は検証しているから色々使っていますが、実際はOculus Goだけでも十分に楽しめますよ。試しに体験してみますか?
(筆者、Oculus Goでネットフリックスの『パシフィック・リム』を視聴)
──すごい、イェーガーの手が実際に迫ってくる……! 視界全域にスクリーンが広がっていて、サウンドも多方向から響いてくるので、映画館のような臨場感ですね。
そうでしょう(笑)。
──ネットフリックスの視聴以外では、どのような使い方をしていますか?
会議をすることが多いですね。「Oculus Rooms」というアプリを使えば、VR上の部屋でアバターを通じてコミュニケーションが図れます。最近は社内の会議だけでなく、外部の取材も対応することもあります。
一度だけ、会議の時間にどうしても間に合わないとき、最寄駅にある知り合いのオフィスのトイレを借りました。そこでOculus Goを装着して会議に出席したんです。VRであれば着用者がどこにいるのか、会議相手にはわからないですし、現実世界の身だしなみも関係ありません。
「Oculus Rooms」では資料の共有やプレゼンもできます。必要な動作は一通り揃っているので、不便を感じたことはありません。むしろ「場所」という制約がなくなるので、実際の会議より便利ですね。
──とはいえ、外見のインパクトが強いですね……。ちょっと手を出しづらい気がしてしまいます。
やはり、パッと見の印象で敬遠される方が多いですね。まさにおっしゃる通りで、実際にやってみないとそのスゴさがわからないのが、課題かな、と。だから、僕は「とりあえずOculus Goを買ってみて」と言っています(笑)。便利なので普段からカジュアルに使う人も増えています。