eMarketerがレポートで引用した「YouGov」や「エコノミスト」の統計によると、フェイスブックが今後、十分なプライバシー保護措置をとると考える米国人の比率は24%にとどまっている。また、フェイスブックに対する信頼度は若い世代で特に低いことも判明している。
プライバシー保護が適切に行なわれていると考える利用者は2017年に79%だったが、ケンブリッジアナリティカのニュースが報じられて以降は27%に急減したという。
英国で実施された調査で、フェイスブックのアカウントを削除しようと考える利用者は6%のみだったが、回答者の多くは収集される個人データを制限しようと考えていることも明らかになっている。
ユーザーの3分の1はプライバシー設定を変更した。4分の1は「いいね」や位置情報の共有を停止した。「Thomson Reuters」の調査では、米国人の44%が最近になってプライバシー設定を変え、友人らとシェアする情報を減らしているという。また、そのうち80%が、フェイスブックに関するネガティブな報道がその原因となったと述べた。
これらの結果を踏まえ、eMarketerは今後、フェイスブックの利用時間が減少に向かうと予測している。「アジア地域での利用時間に大きな変化はないが、北米での利用時間は減少し、欧州やその他の地域でも伸び率が下がった」と同社は述べている。
フェイスブックCFOのDavid Wehnerは4月25日発表の第1四半期決算で、GDPR(EUのデータ保護規則)の影響で欧州のユーザー数は横ばいか減少となる可能性があると述べていた。しかし、その影響は限定的なものになると述べる幹部もいる。
「共有するデータの量を制限するユーザーも出てくるだろう。しかし、それほど多くのボリュームになるとは考えていない」と同社のグローバルマーケティング部門のCarolyn Eversonは述べていた。
一つだけ確かなのは、フェイスブックにとって今回のプライバシー問題が、彼らがかつて経験したことのない問題であることだ。直近の数値からは、その影響の大きさは見えてこない。しかし、近い将来に同社の収益に大きな打撃を与えることも想定できる。
また、フェイスブックが本拠を置くカリフォルニア州では、GDPRと似た「カリフォルニア消費者プライバシー法(California Consumer Privacy Act)」の制定の動きも進んでいる。この流れが他の州にも拡大すれば、フェイスブックにとって打撃になり得る。