PanoClipを開発したのは、中国の深センに本拠を置くスタートアップ企業「Arashi Vision」だ。同社はSF映画「マトリックス」を思わせる、ぐるぐると回転する360度の自撮り動画が撮影なカメラ「Insta360 One」で有名だが、今回のPanoClipは別カテゴリの製品として市場に投入された。
PanoClipではInsta360 Oneが実現したような、高度なバレットタイム撮影などはできない。それどころか撮影できるのは静止画のみで、動画の撮影には対応していない。誰でも手軽に360度写真が撮影できる、スマホのアクセサリー的位置づけでPanoClipは発売された。
PanoClipは180度の魚眼レンズを前後に持つプラスチック製のデバイスで、1度に2枚の写真を同時に撮影する。撮影したイメージはArashi Visionが独自に開発したアルゴリズムで、即座に1枚の360度写真に加工される。
Arashi Visionの広報によると「このデバイスはInsta360シリーズとは別ラインの製品」とのことだが、PanoClipの専用アプリの操作感はInsta360のアプリと同様に非常にスムーズで、面白いフィルターも豊富に用意されている。
撮影した写真は専用アプリに表示して、様々な角度から楽しめる。また、VRヘッドセット用に加工すれば、まるでその場に居るような没入感を味わうことも可能だ。SNSへの投稿も即座に可能な仕様になっている。
PanoClipの画質は端末のカメラ性能に依存するため、古いiPhoneよりはiPhone Xで使用したほうが高画質な写真が楽しめる(アンドロイド版は後日発売予定)。筆者はiPhone Xで試したところ、クリップオン型のアクセサリーとは思えないほどの画質が得られた。
ただし、Insta360 Oneなどの高価なデバイスと比べると画質の差は明らかで、魚眼レンズ特有のノイズや、2枚の写真の継ぎ目も少し気になった。
それでも49.99ドル(日本での価格は4500円から)という価格の安さや、手軽に360度写真が楽しめることを考えると、PanoClipは自撮りやインスタが大好きな若い世代から大きな支持を集めることは間違いないだろう。夏の音楽フェスティバルなどでも、PanoClipは大いに活躍しそうだ。