利用人口は2016年には1600万人だったが、2020年には7650万人に到達するとeMarketerは予測している(同社は利用人口の定義を『月に最低1回以上、スマートスピーカーを使用する人』としている)。
さらに同社は、過去に1度でもスマートスピーカーを利用した経験を持つ米国人の数が2018年に、9100万人に達するとみている。これは米国の全人口の27.6%に相当する。
「米国におけるスマートスピーカーの利用人口は、前回公表したデータを上回っており、当社はその予測値を引き上げた」と同社は述べた。
ここで興味深いのはeMarketerが、この市場を2020年にかけてリードするのはアマゾンだと述べている点だ。つい数日前に調査企業「Canalys」は、現状のスマートスピーカーの出荷台数はグーグルがアマゾンを上回っているとのデータを公表していた。Canalysのデータは「直近の四半期の出荷台数」であり、eMarketerとは異なる指標ではあるが、これはかなり気になる数字といえる。
「2018年に米国で使用されるスマートスピーカー3分の2をアマゾンエコーが占めることになる」とeMarketerは述べている。市場の拡大を牽引しているのは「求めやすい価格だ」と同社は分析する。
「普及が進んだ背景には昨年末のホリデーシーズンに、グーグルが廉価版の『ホームミニ』を発売するなど、低価格化が進んだことがあげられる。それにより、消費者らの新たなテクノロジーに対する心理的バリアが取りのぞかれた。また、新規のプレイヤーらの参入も市場の拡大につながった」とeMarketerは解説する。
もう一つ注目すべきは、この市場がテクノロジー好きなアーリーアダプター以外に拡大している点だ。スマートスピーカーの主要な顧客層はファミリーや、40代の女性、子を持つ親たちになっているという。
グーグルとアマゾンが主要なポジションを抑えるなかで、アップルの「HomePod」がどこまで売上を伸ばせるかも気になるところだ。また、フェイスブックも独自のスマートスピーカーを計画中との噂もある。
さらにマイクロソフトがオーディオ機器メーカーの「ハーマン・カードン」との提携で生み出したコルタナ搭載のAIスピーカーの今後にも期待したいところだ。