実店舗やオンラインという従来の販売方法がけん引力を失うなか、各ブランドは消耗品の補充や衣類の買い替えという継続的なニーズ、または定期的に何か新しく異なるものを受け取るという目新しさを通じて、消費者の需要を喚起しようとしている。
米ギャップ(GAP)が子供のファッションに関する母親たちのニーズに応えようと開始した定期購入プログラムの背景にも、こうした考えがあると見られる。ベビーギャップ(babyGap)の「アウトフィットボックス(OutfitBox)」は、コーディネートしたベビー服を3カ月ごとに届けるプログラムだ。100ドル(約1万1000円)相当の商品が入って、価格は70ドル。サイズは成長に合わせて毎回変更する。
パジャマ3着(80ドル相当)を届ける「ベッドタイムボックス(BedtimeBox)」は、1セット49ドル。また、5~12歳までの子供向けには、オールドネイビー(Old Navy)の「スーパーボックス(Superbox)」が用意されている。100ドル相当の商品が入って約60ドルだが、返品したアイテムがなかった場合、次の配送時には10ドルの値引きが適用される。
定期購入サービスに不可欠なもの
ギャップはこのプログラムにおいて、子供服のキッドボックス(Kidbox)やロケッツ・オブ・オーサム(Rockets of Awesome)などとの競争にさらされている。キッドボックスがアディダス、DKNYをはじめとする有名ブランドの商品を取りそろえているのに対し、ギャップが顧客に届けるのは自社ブランドの衣類のみだ。一定期間が経過すれば、顧客にとっての新鮮味は失われてしまう可能性もある。同社はこの問題に対応することができるだろうか。
ギャップが顧客にとって潜在的に価値のあるサービスを提供していることは確かだ。顧客は実店舗に行く必要も、パソコンなどの画面の目に座って商品を選び、購入する必要もない。だが、オンラインマーケティングを専門とするフォシーナ・マーケティング・グループの最高経営責任者(CEO)、ジム・フォシーナは次のように警告する。