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2018.05.03 08:00

中国Eコマース分野の新勢力「網易厳選」のきわどい戦略

leungchopan / shutterstock

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アリババやJD.comらが勢いを増す中国のEコマースの市場規模は8600億ドル(約93兆円)とされている。そんな中、新興勢力として浮上しているのが「NetEase(網易)」だ。
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中国のテック業界で第4位の富豪であるウィリアム・ディンが率いるNetEaseは、2016年4月、高品質なアパレルや家具、家庭用品が格安で買えるEコマースサイト「網易厳選(Yanxuan)」を始動した。

網易厳選では、グッチやバーバリー、UGGなどの国際的ブランドを支える製造業者らが、NetEaseの独自ブランド向けに格安の製品を提供していることを売りとしている。

一体どれほど安いのか? 例えばJD.comやTmallでは200ドル以上の人気ブランドUGGのブーツにそっくりな商品が、網易厳選では45ドルで販売されている。しかも、製造元は「UGGの製造を手がける業者」とされている。
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NetEaseの売上は伸びている。同社は越境ECの「Kaola(考拉)」も運営し、Eコマース事業の売上は1年で160%増加した。網易厳選の取り扱い商品は1万アイテムに及び、タオバオやJD.comを追い上げようとしている。

アリババやJD.comも独自ブランドを立ち上げたが、彼らは網易厳選のように「大手ブランドと同一の製造元」とは謳っておらず、さほどの成果はあげていない。

ただし、網易厳選のビジネスモデルには反発の声もあがる。UGGの広報担当者は次のように述べた。「UGGは網易厳選といかなるパートナーシップも結んでいない。彼らの販売方法は消費者に誤解を与える」

アメリカン・アパレル・フットウェア協会(AAFA)もNetEaseの行為は知的財産権(IP)の侵害にあたる可能性があると指摘する。「大手ブランドの製造元と同じ業者によって製造されたと謳うことは、悪質な行為に該当する。また、製造元もブランドとの契約に違反している可能性がある」とAAFAのSteve Lamarは述べた。

消費者らは歓迎

中国の法律事務所「Yingke」のPan Xiaoningも「仮にそれが本当だったとしても、ブランドの合意のないまま、“製造元が同じ”とアピールし販売するのは、法にふれる可能性がある」と述べる。

「ほとんどの大手ブランドは外部の製造業者に、ブランドの商標の使用を許してない。NetEaseのビジネスモデルは特許権の侵害にあたるかもしれない」とXiaoningは話した。

ただし、中国の消費者らはあまりこの問題を意識していないようだ。上海の43歳の主婦、Lynn Zhangは網易厳選で家族みんなのためにUGG風ブーツを購入した。「UGGのデザインはそんなに独自性があるものではない。それに、素材のシープレザーもイケアに行けば30ドル程度で買えるものだ。網易厳選を利用することで、私たちは製品の本当のコストを認識するようになった」とZhangは話した。

しかし、網易厳選のビジネスモデルは持続可能なのだろうか? コンサルティング企業「iResearch」のアナリスト、Jiao Dingkunはこう述べている。「彼らが事業を拡大するためには、サプライヤーを増やしていく必要がある。しかし、クオリティの高い商品を製造できる中国の工場の数は限られており、今後は困難が待ち構えているだろう」

編集=上田裕資

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