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2018.04.21 10:00

「どこでも暮らせる」エネルギー自給型エコカプセル、日本に上陸

Andrey Armyagov / Shutterstock

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「エコカプセル」は、現代に最も重要な“エネルギーに依存しない”トレーラーハウスだ。太陽光と風力による発電装置と雨水処理装置を備えており、“自給自足”が可能となっている。
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創業者でスロバキア出身のソナ・ポーローバは、卵のようなエコカプセルの形が特に気に入っているという。一方、世界中の人たちの想像力をかき立てるのは、そのデザインだけではない。真の心の安らぎを見つけられる場所、人が他に誰もいないようなワクワクするような場所で暮らせるというエコカプセルの可能性だ。

フットプリントを残さず暮らす

スロバキアの首都ブラチスラバに拠点を置くデザイン事務所、ナイスアーキテクツ(現社名ナイス&ワイズ)を共同で立ち上げたポーローバは、卵型のデザインを取り入れた住宅のコンセプトをコンペティションに出品。受賞は逃したものの、そのユニークなアイデアに引かれた人たちの後押しを受け、エコカプセルの開発を進めることを決断した。

2014年に共同創業者とともにエコカプセルの開発を目的とする別会社を設立。スロバキアのクラウドファンディング・プラットフォーム、クラウドベリーを通じて75万ユーロ(約9970万円)を調達した。
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ポーローバは、「エコカプセルなら、自然と触れ合いながら生活することが可能だ。基礎工事を必要としないため、環境にフットプリントを残すこともない」と語る。山頂や眼下に海岸を見下ろす場所に暮らすというアイデアを魅力的に思う人は、約8万ユーロを用意すれば、そんな暮らしを実現できるかもしれない。ポーローバによれば、「ほぼどこにでも、住むことができる」。

「例えばオーストラリアのように日射量は多い一方であまり風が吹かない場所でも、反対にオランダのように、風はよく吹くけれど日射量は少ないという場所でも、十分に発電できる」

「私たちは主に、外に出て(エコカプセルで暮らし)、自分を取り巻くものの美しさとのつながりを感じてもらいたいと考えている」

世界各地に向かうエコカプセル

今年1月、最初の限定生産分50台のうちの1台が、東京に向けて発送された。注文を受けているその他の顧客にも、年内に発送する予定だ。ポーローバによれば、注文の大半はオーストラリアと米国から受けている。欧州では、ドイツと北欧の国の顧客が多いという。

また、顧客には環境意識の高い人や設計に非常に強い関心を持つ人、世界中を移動し、必要最低限の設備のためでも足を止めたくない探検家たちなどがいる。さらに、団体名は非公開としたものの、石油会社やホテルなど複数の法人や政府機関からも、オフィスやゲスト用の部屋としての使用を検討したいとして、問い合わせを受けているという。

「エコカプセルの素晴らしい点は、自然の中だけではなく、過密化して家賃も高い都市部でも、使用可能だということだ…既存の建物の屋根に設置することもできる。広いスペースは、必要ではない」

ポーローバは生産拡大に向けて現在、新たな投資ラウンドでの200万ユーロの調達を目指している。実現すれば、エコカプセルの価格を高級キャンピングカーと同程度にまで引き下げることが可能だと見込んでいる(フォルクスワーゲンの「カリフォルニア」は、新車で5万ユーロ程度)。

さらに今後は、オフィス向けや家族向けなどのスペースを設けた改良型の別タイプも製造したい考え。いずれは極寒の南極圏や砂漠気候の地域でも居住可能な、複数の「極限」仕様のカプセルも開発したいという。

編集=木内涼子

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