動意付いたきっかけは様々考えられるが、イスラム絡みの話が再材料視されている。10日、インドネシアのイスラム法学者が、「ビットコインはイスラム法に準じるものである」との論文を発表。世界の23%およそ16億人はイスラム教徒であり、巨大資本の流入が期待されることから、買い材料を欲していたマーケットでポジティブな材料としてとらえられたものと思われる。
確かに、ビットコインを始めとする仮想通貨は金利という概念が今のところない。キャッシュフローという概念がない観点から、イスラム金融との相性がいいのかもしれない。
米国の確定申告の終了時期が近づいていたことから、需給的な潮目が材料視されたとの見方もある。80万円台を回復したことで、著名投資家による強気なコメントがSNSで散見されたことで、投資家マインドは改善。三角もち合い上放れというわかりやすいチャート形状となった。
3月14日以来の100万円台回復を期待する投資家は多いが、動意付く前の水準からの上昇率は40%強となる。短期的な反発待ちの投資家からすると利益確定に動きたいところだろう。そして、3月につけた高値98万5000円(フィスコ仮想通貨取引所(FCCE))も意識されやすい。100万円台の回復は、短期的な反発待ちの投資家だけでは心もとないのが、現状といえよう。
ただ、上述したように米国の確定申告の期間は終了している。また、19日早朝には米国でCBOEに上場しているビットコイン先物のSQも通過した。CBOEの売買数量を見る限り、さほど活発な商いとはいえないが、昨年12月に上場していたビットコイン先物のSQはたびたび、下げ局面での話題となったことから、市場では「SQは警戒」との認識が強まっていた。
つまり、足元のビットコイン市場は、「米国の確定申告」と「先物のSQ」二つのネガティブな需給要因をクリアした状況にある。
株式や為替と異なり明確な投資尺度が分かりにくい仮想通貨市場において、需給は重要なポイントと考える。今回の需給改善が、年初からの調整相場見直しの起因となれば、短期的な反発にはとどまらないだろう。100万円手前まで上昇したあと、出来高を伴ったもみ合いとなった場合、次の上昇ステージに入ったサインかもしれない。
連載:「仮想通貨」マーケット実況
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