答えは、GV(旧グーグル・ベンチャーズ)のゼネラルパートナー、アンディ・ウィーラーが関わる企業だということだ。アルファベットのベンチャーキャピタル部門であるGVは当然ながら、将来有望な企業に狙いを定めることに長けている。
食品関連分野への出資は増加が続いており、2017年には前年比29%増のおよそ101億ドル(約1兆800億円)に達した。そうした中でもGVからの出資を受けることは、起業家たちが資金面において強く希望するものであり、同時に一流企業への成長潜在力に “信任”を得た証になるものでもある。
以下、GVからの支援を受ける有望な食品・農業関連の4社を紹介する。
1. インポッシブル・フーズ
世界人口が急増する一方で耕作可能地が減少するなか、投資家の多くは今後、植物ベースの食品がより持続可能な食のエコシステムの基盤となると見込んでいる。 ウィーラーが特にこの点に関心を持ったきっかけは、インポッシブル・フーズのパット・ブラウン最高経営責任者(CEO)だという。
同社の「血の滴るバーガー」は、大きな話題を集めた。このバーガーは動物の肉で作ったバーガーを食べたときと同様の感覚をもたらすことに成功。遺伝子操作した酵母を用いてヘム分子を複製し、動物の肉のような赤い色と味、鉄の風味を再現した。
ウィーラーによれば、「パットの主張は、植物ベースの食品を主流したければ、誰もが本当に好んで食べるものを作らなければならない。それだけだ」。GVはこのアプローチに共感。同社のシリーズCラウンドでの資金調達で、出資することに同意した。
2. リップル・フーズ
インポッシブル・フーズは長期的な戦略の下、自社製品の認知度を高めるために当初はレストランに直接、バーガーを販売することから始めた。そして同時に、一貫性を維持できる大量生産プロセスの構築を進めてきた。これに対し、エンドウ豆から牛乳の代替品を製造するリップル・フーズは当初から、全米での販売を開始した。
同社はその統制の取れたサプライチェーンで、ウィーラーに強い印象を与えた。事業を全米規模に拡大するためには、早い段階から高度なサプライチェーンを確立し、大規模小売店への供給と増加する注文の双方に対応可能な状態を整えておかなければならない。リップル・フーズは2016年7月、シリーズBラウンドで3000万ドルを調達。このときリードインベスターとなったのがGVだった。