売上減少の背景には2015年に出版大手5社が収益確保のために一斉に値上げを行ったことや、「ハリー・ポッター」のような大ヒット作品が近年生まれていないことがあげられている。
しかし、そんな状況下で着実に利用者を伸ばしているのが、図書館の電子書籍の貸出だ。図書館向けの電子書籍流通に特化した企業「OverDrive」は先日、2013年の設立以来、累計の貸出件数が10億件を突破したことをアナウンスした。
OverDriveは日本の「楽天」の傘下の企業。楽天は2015年にOverDriveの全発行済み株式を約4.1億ドル(約433億円)で買収し、完全子会社化を果たしていた。同社は世界4200ヶ所の図書館に電子書籍の貸出サービスを提供している。
米国で低迷が続いている電子書籍市場だが、まだ完全に死んだわけではない。近年は大幅なディスカウント価格で提供されることも多い電子書籍は、本を大量に読む人や旅行中の読み物を探している人々からの利用も多い。また、さらに安さを求める人々は無料の図書館の貸出サービスを利用している。
しかし、調査機関「ピューリサーチセンター」のデータで、米国の成人の大半は依然として紙の書籍を好んでいることが明らかになっている。2016年時点で、「紙の書籍を読む」と答えた人の比率は65%。「電子書籍を読む」と回答した人は28%。「オーディオブックを聞く」と答えた人は14%だった。