世間は単に良い商品を買うだけではなく、優良な企業、善行をしている企業から商品を買う。善いことをする、という考えは、もはやトムズ(TOMS)やパタゴニア(Patagonia)のような社会的意識の高い企業だけのものではなく、ようやく主流になってきた。
残念なことに、主要ブランドが社会問題に注目し直すには、パークランドの事件や「#MeToo(私も)」運動といった悲劇が必要だった。ブランド各社による職場でのセクハラ問題への反応や、NRAへのボイコット運動のような世論を二分する問題に対する意思表明の速さは、前例がないほどだった。
こうした企業は適正な手続きを無視し、あまりに早く反応しているとの意見もあるだろう。しかし私は、評判を管理することと、適正な手続きは別物として考えるのが重要だと思う。企業にとっては自社の倫理や価値観、モラルに対する忠実さが大切であり、今回NRAとの関係を絶つ勇気と信念を持った会社には拍手を贈りたい。
ツイッター上でNRAとの断絶を発表した補聴器メーカーのスターキーが、うまい表現をした。「私たちは世界中の人々の聴力向上のために、今後も注力し続けます」。2重の意味に取れるこの表現が意図的なものかは分からない。しかし同社は、私たちの聴く力を向上させることで、私たちの調子外れな態度の改善も支援してくれているのかもしれない。