ロールス ロイスの中でも最高峰に君臨する「ファントム」は、いわば“The Rolls-Royce”とも呼べる存在であり、“最高の中の最高”と評しても過言ではない。1925年に生まれた初代「ファントム」は、排気量を抑えながらも、パワフルなエンジンを搭載していた。高められたパフォーマンスを受け止めるボディにも定評があり、4輪にサーボ付きブレーキを採用したり、ロードホールディング製の高いダンパーを備えるなど、非常にモダンな構造であった。
2017年7月、その初代から数えて8代目となる新型「ファントム」が、14年ぶりに刷新されることが発表された。「アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー」と呼ばれるアルミスペースフレームを採用し、30%もの軽量化に成功している。ボディを固めることにより、「マジック・カーペット・ライド」と呼ばれるロールス ロイス伝統の“Waftability(=「浮遊感」の意)”が生み出されている。心臓部には、新開発の6.75リッター・ツインターボ付きV12エンジンが搭載されており、563ps/900Nmもの大出力で巨大なボディをぐっと押し出す。
また、乗り降りのしやすさ、快適さと上品さ、ラグジュアリーといった、ロールスロイスが重視する事柄を、今の時代に沿って再定義している点も見逃せない。例えば、100年ぶりに自動車のダッシュボードをデザインし直している。また、ドア・ハンドルにはセンサーが埋め込まれており、ショーファーが、あるいは自らが、軽く手を触れるだけで、まるで“囁くように”ドアが閉まるという。
最高を定義し、作り出そうとするロールスロイスの姿勢は、100年以上を経てた今でも、まったく揺るがない。