良質な教師に出会えるサービス「Varsity Tutors」は新規で5000万ドル(約53億円)のシリーズC資金を調達した。今回の調達ラウンドは「Learn Capital」が主導し、CZIや既存出資元の「Technology Crossover Ventures」も参加した。
米ミズーリ州セントルイス本拠のVarsity Tutorsの累計資金調達額は、これで1億700万ドル(約114億円)に達した。CZIは個人に最適化された教育テクノロジーに年間数億ドルを拠出しており、今回の出資はその流れの一貫だ。
Varsity Tutorsは1時間あたり約50ドルの授業料を、地域や学習内容に応じて徴収している。Varsity Tutorsではビデオチャット等を通じてカスタマイズされたレッスンが受講可能で、学生の大半はK-12層(幼稚園から高校卒業まで)が占めている。調査企業「Global Industry Analysts」は世界の個人レッスン産業が2020年までに2000億ドル市場に成長すると予測する。
Varsity Tutorsには約4万人の教師が登録し、1千以上のコースを提供している。同社の創業者でCEOのチャック・コーン(32)は「我々のプラットフォームは学生と優秀な教師をリアルタイムでつなぐ、ライブ学習プラットフォームだ」と述べた。
Varsity Tutorsでは最短で15秒で教師が見つけられる。Learn Capital創業者のRob Hutterは「オンライン教育は今後、収入のレベルを問わず、誰でも高品質な
教育が受けられる“教育の民主化”を担う場になっていく。学習対象はアカデミックな領域からプログラミングまで幅広く、オンデマンドでパーソナライズされた課題が学習できる」と述べる。
時間や場所を問わず、高品質な学びの場を提供することにより、親たちの負担が軽減できると、創業者のコーンも語る。「車で子供をクラスに送り届ける必要を省き、モバイルで授業を受けさせることが可能になった」
Varsityは調達資金により海外展開も進めている。2017年には欧州最大の個人指導プラットフォームの「First Tutors」を傘下に収めた。Varsityは現在、500名近くの従業員をセントルイスやシアトル、フェニックス等で雇用している。
コーンがVarsityの創業を思い立ったのは11年前、セントルイスのワシントン大学に在学中のことだった。当時はスターバックスでチラシを配り、携帯電話で受講の申し込みを受けていた。
今後は楽器の演奏やビジネススキルの修得も行える、オンデマンドプラットフォームに拡大させたい意向だ。
「オンライン講座の可能性は様々な分野に広がっている。寿司職人の育成も可能だし、デジタル広告の専門家を育てることも可能だ。米国最大の個人指導プラットフォームとして、様々な分野にチャレンジしていきたい」とコーンは話した。