「妊娠中の飲酒」による障害は、考えられていたより10倍も多かった

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新しい研究により、妊娠中の飲酒は、これまでに考えられていたよりも最大で10倍多くの子供たちに悪影響をもたらしていることがわかった。米国では、10人に1人の子供が妊娠中の飲酒によって何らかの障害を抱えている地域もあるという。

今回の発見は、障害だと見なされていないがサポートが必要な多くの子供が存在している可能性が示されただけでなく、妊娠中の飲酒──たとえそれが多量でなくとも──による障害がいかに広まっているかを明らかにするものだ。

妊娠中の飲酒について考えるとき、多くの人は「胎児性アルコール症候群」(FAS:Fetal Alcohol Syndrome)を引き起こすような多量の飲酒を思い浮かべるだろう。FASは、成長、顔の特徴、認知能力や行動に影響を与える身体および発達障害である。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は1000人に1人の子供がFASを抱えていると推定している(なかには最大で1000人に9人がFASにかかっているとする報告もある)。

だがFASは、妊娠中のアルコール摂取がもたらすより広い障害の概念「胎児性アルコール・スペクトラム障害」(FASD:Fetal Alcohol Spectrum Disorders)の一部である。FASDとは、飲酒や障害の程度にかかわらず、子宮がアルコールにさらされた結果として生じるすべての障害や状態を指す。最近まで、FASDにかかる子供は1〜5%存在すると考えられていた。

しかし、JAMA(Journal of the American Medical Association)による新しい研究によれば、米国では3.1〜9.9%の子供がFASDを患っているという。今回の研究では米国の4つの地域を対象としたが、飲酒の傾向は地域によって異なるため、FASDがどれくらい蔓延しているかも地域によって変わってくる。

それでもFASDについて十分に報じられていなかったこと、そして「スペクトラム障害」に対する認知の低さが、「妊娠中でも少量の飲酒であれば安全である」という誤った認識をもたらしてきたことは間違いないだろう。

見逃されていた疾患

ノースカロライナ大学チャペルヒル校のフィリップ・A・メイ博士による今回の研究は、2010年11月と2016年7月の2つの時期に行われた。

研究者たちは、中西部、ロッキーマウンテン地域、南東部、太平洋岸北西部のいずれかの地域に住む6639人の1年生の子供を調べた。対象となったのは、以下の4つの条件のいずれかに当てはまる子供である。

(1)妊娠中に母親が飲酒をしていたことがわかっている
(2)神経・行動のどちらかにおいて発達障害を抱えている
(3)身体発育において遅れ、あるいは異常がある
(4)妊娠中の飲酒が原因だと考えられるような顔の特徴(目の横幅が短い、鼻と上唇の間が平らである、上唇が薄いなど)がある

その結果、27人がFAS、104人が部分的なFAS、91人が神経発達障害と見なされ、計222人の子供がFASDと診断された。そのうちの2人はすでにFASDと診断されていたが、他の220人はFASDと認知されていなかった。研究者たちが、どの程度FASDが蔓延しているかを計算したところ、最も罹患率が低かったのはロッキーマウンテン地域の3.1%、最も高かったのは南東部の9.9%だった。
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翻訳・編集=宮本裕人

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