アップル、iPhoneからクアルコム追放 インテルが独占供給か

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ニュースサイト「9to5Mac」に掲載されたKGI証券のアナリストMing-Chi Kuoのリーク情報によると、アップルは今後発売するiPhoneからクアルコム製のデータ通信チップの採用をやめ、インテルのチップのみに切り替える意向だという。

この決定はアップルとクアルコム間で繰り広げられてきた、激しい特許訴訟に関連したものとみられている。ただし、この判断はアップルにとって危険な賭けになりそうだ。

アップルは過去2世代のPhoneにおいて、インテルとクアルコムの2社のチップを併用してきた。パフォーマンステストの結果は常にクアルコム製チップを搭載した端末が、インテル製チップ搭載モデルの性能を上回り、3Gや4G通信の安定性も高かった。

関係筋の話ではアップルは両社の差を隠すために、故意にクアルコムチップ搭載端末の性能を低くしているという。その結果、最新のiPhone 8シリーズの4Gモデムの通信速度は、Galaxy S8などの競合のギガビットモデムの通信速度と比較すると、最大で40%も遅くなる可能性が指摘されている。

ただし、問題はそれだけではない。クアルコムとインテルの差はパフォーマンスだけではないのだ。Kuoが得た情報によると、クアルコムは5G向けチップの開発においても先行し、インテルよりも早く5Gチップを実現可能だという。つまり、今後は競合らが5G対応の端末をリリースするなかで、iPhoneだけが4Gにとどまらねばならない事態が起こりうる。

ただし、KGIによるとアップルはクアルコムに譲歩する提案も行っているという。仮にインテルが5Gチップの開発に苦戦した場合は、アップルはクアルコムから5Gチップの提供を受けることになるという。専門家らはクアルコムが5Gチップを商用化する時期を2019年から2020年になると予測している。

しかし、クアルコムとの協議がまとまるまでの間は、アップルは強硬な姿勢を貫くとみられ、そこで我慢を強いられるのはユーザーたちだ。今年発売の「iPhone X Plus」の価格は最大で1400ドルに達するとも噂されているが、そんな大金を払わせるのならば、性能には一切妥協してほしくないというのがユーザーの本音だろう。

編集=上田裕資

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