だが、問題はそうした投機家たちの中には、市場の変化のタイミングを測れるほど十分に賢い人も、幸運な人もいないということだ。少なくとも、金融経済学の主流派はそう考えている。
仮想通貨に賭ける投機家たちは遅かれ早かれ、手にした多額の利益の多くを失うことになるだろう。そして、だからこそこうした人たちは、現在の乱高下する価格の今後について、考えなければならない。仮想通貨は20年後、どのような状況に置かれていることになるのだろうか。
悲観論が主流?
米レイブラム・ウェルス・マネジメントの創業者であるジェイソン・レイブラム社長によれば、「残念ながら現在のところ、ビットコインの将来に関わるものはほぼ何であれ投機的だ」。
「ビットコインを購入している人たちの平均的な(仮想通貨に関する)知識レベルは、怖くなるようなものだ。彼らは価値が急激に上昇してきた資産としてしか、仮想通貨を見ていない。つまり、時流に乗る人たちの群集心理によって動いている」
レイブラムはまた、20年後の仮想通貨がどのようになっているのかについては、はっきりとは分からないと指摘する。
「私たちがビットコインについて今議論していることを、20年後に振り返るってみるのは興味深いことだろう。そのころには、仮想通貨は私たち全ての日常生活の一部になっているかもしれない。あるいは、誰もが忘れてしまった昔の流行になってしまっているのかもしれない」
P2Pアプリケーションのための新たなオープンソースフレームワーク、Holochain(ホロチェーン)のコミュニケーションディレクターもまた、仮想通貨の今後については悲観的だ。
「ユーロや米ドルをはじめとする各国の通貨は、2038年にはほぼ消滅しているだろう。ビットコインやその他の現世代の仮想通貨も同様だ」
だが、楽観的な見方をしているものもある。それは、ブロックチェーン技術そのものだ。
「価値を持つようになった新たなトークンによって、(ブロックチェーンが)つぶされてしまっているということはないだろう。ただ、新たに活力を得た暗号化通貨のエコシステム(デジタル署名されたシグナルなど)に置き換えられている可能性はある」という。
仮想通貨と関連するテクノロジーが、20年後にどうなっているのかは分からない。ただ、一つ明らかなことは、仮想通貨市場は今後も、ボラティリティーの高い状態が続くと予想されることだ。そして、それは投資家ではなく、投機家たちにとってのゲームになるということだ。
(仮想通貨やトークンへの投資は、非常に投機的なものだ。市場にはほぼ規制がない。投資額の全てを失う可能性があることを覚悟しておく必要がある。なお、米ロングアイランド大学ポスト校の経済学教授である筆者は、仮想通貨を所有していない)