この天才児は、わずか数か月間に3大陸で3つのトロフィーを獲得。 栄えある2018北米ユティリテイ・オブ・ザ・イヤー賞(つまりSUV) のトロフィーにつぎ、日本カー・オブ・ザ・イヤー賞を獲得。この賞は、創設からこれまでの34年間で輸入車は一度しか受賞したことがない難関だ。さらに今年1月に入って、30社70車種の中から2017欧州NCAPでセーフティ賞を受賞している。
XC60は、業界をリードする安全性を持ち、技術的に優れた点が満載だ。北欧神話の勇士トールのハンマーをモチーフにしたヘッドライト、400hpのエンジンを抱えるスタイリッシュでクラシックなボディラインを持つXC60だが、フラッグシップのT8仕様はまるで近未来からやって来たようだ。それほど先進的なのだ。 目を楽しませる美しくて質の高いインテリア、外観デザイン、数々の最新テクノロジー、安全機能、運転していると思わず微笑みがこぼれる性能。それらが、現在市場にあるSUVのどれよりも備わっていると思う。
T8仕様にはツインエンジンというユニットが搭載されている。つまり、これはガソリン・プラグイン・ハイブリッドなのだ。XC60は400hp、トルクは640Nm、わずか5.2秒で静止時から時速100kmに達する。それを可能にしているのは、ターボチャージャーとスーパーチャージを併用した2.0Lのエンジンと8速ATの組み合わせだ。このためコンパクトで軽くなっており、パワーがあって燃費がよくなる。
簡単に言うと、直列4気筒、2.0リットルのエンジンが発揮する313hpが前輪を、87hpの電気モーターと10.4kWtのバッテリーが後輪を駆動している。この合計400hpによって、XC60はドイツのライバル勢に負けない性能を実現している。
少し前に、ロサンゼルスでゆっくりと試乗する機会を得た。約30キロを電気モーターだけで走ったが、静かでもっともストレスのない走行だった。つまり、振動がなく、乗り心地よく、充分パワーがある。そして何よりも感心したのは、めずらしいことなのだが、航行距離を正確に読んでくれることだった。
車重1860kgのXC60のアクセルをベタに踏み込むと、出だしが意外に素早い。重さを感じさせない。ターボとスーパーチャージャー、そしてハイブリッドの組み合わせが、V8並みの発進加速性を可能にしている。ブレーキのフィールはとてもよいが、ペダルを強く踏んだ時にノーズダイブする傾向は否めない。