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2018.02.05 17:00

変わるバレンタイン、チョコを「贈る日」から「楽しむ日」へ

Photo by Getty Images

2018年1月、新宿NSビルで1週間にわたって催されたチョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ」。1995年にパリで発祥し、2003年に日本に上陸。三越伊勢丹が主催となり、毎年バレンタイン前に開催されています。

近年はその人気がより過熱し、長年会場となっていた伊勢丹新宿店本館の催事場におさまらないほどにチョコレートファンが来場。2017年から会場を移し、同年は東京国際フォーラムで約11万人を超える来場者を記録。 今年は過去最多となる世界15か国108ブランドが出展し、より大規模かつ魅力的に進化。その熱狂ぶりから「チョコレート界のコミケ」とも称され、話題を呼んでいます。

このサロン・デュ・ショコラの盛り上がりに象徴されるように、今、女子のバレンタインとの向き合い方が変化しています。それは、「贈る」ということから「買いに行くこと」のイベント化です。チョコレート人気の高まりとともに、その奥にある「ストーリー」に惹かれるファンが増えています。ショコラティエの人物像、ブランドのルーツ、味わいやパッケージのインスピレーション……。また、フェアトレードへの注目からも、原料であるカカオの生産者の労働環境など、取引の公正さにも目が向けられています。

美味しいのは当たり前、その上でチョコレート好きの心をくすぐるフィロソフィーが求められているのです。そのニーズに応えるように、サロン・デュ・ショコラには出展ブランドを事細かに紹介する公式ガイドブックが存在し、実際に食したチョコレートをチェックするためのノートまでも揃っています。予習し、網羅していく楽しみまで生まれ、チョコマニアを惹きつけています。

歴史もあるサロン・デュ・ショコラは押しも押されぬビッグイベントですが、それに負けじと、他百貨店もこぞってバレンタインイベントを開催しています。有名ブランドを揃えるだけでなく、世界各地から“他店が呼んでいない”敏腕ショコラティエを招致したり“当店だけの”ラインナップを揃え、差別化に力を入れています。

中でもバレンタイン企画が面白いと注目を集めているのは、銀座三越。選りすぐりのチョコレートが集結するバレンタインフェア「GINZA Sweets Collection 2018」と同フロアに、今年は「チョコレートづくしの魔術の館」が出現。ホットチョコレートが流れ出る蛇口や怪しげな霧の中からチョコレートカクテルを提供するバーなどがあり、不思議な体験ができます。

「贈る」よりも自ら楽しむ?

チョコレート好きを筆頭に、女子同士が一緒にバレンタインイベントに足を運び、試食しながら楽しんで選ぶという「買いに行くこと」のイベント化。本命チョコ、義理チョコ、友チョコに加えて、今や「自分へのご褒美チョコ」が太い太い柱の1本になりました。

そんな女子の購買意欲をくすぐるのが、「いつもと違う」という限定感です。“フォトジェニック”や“インスタ映え”がトレンドの今では、味はもちろん、見た目も大切。ブランドや百貨店は、バレンタイン商戦に向け渾身の限定商品を展開するのです。

バレンタインというと、日本ではまだまだ「女性が男性にチョコレートを贈る日」というイメージが強いですが、実際今年のサロン・デュ・ショコラには男性客の姿も多く、もはやバレンタインは男女問わず「チョコレートを堪能する」イベントになっていると言えるかもしれません。

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毎年訪れるビッグイベントにおいて、急成長するハロウィンの盛り上がりはバレンタインを超え、クリスマスに近づく勢いだと言われています。ただバレンタインは、仮装して街に繰り出すハロウィンとは違い、「チョコレートを買う・贈る」という商売に直結するイベントにもかかわらず愛され続けているという点に底力があるように思います。

「売り方」を超越し、「楽しみ方」が広まりつつある稀有なバレンタイン商戦。みんなで食べるも良し、独り占めして幸せに浸るも良し。「バレンタインはチョコレートを楽しむ日」バレンタインというイベントの性質が変わり、新たな楽しみ方が生まれています。

編集=フォーブス ジャパン編集部

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