このところラリーの話ばかりで恐縮だが、その昔、日本人として史上2組目のモンテカルロラリーに参戦した者ということでお許しいただきたい。
さて、何が起こるかというと、2010年以来中断していた世界ラリー選手権(WRC)の日本開催が現実的になったのだ。舞台は愛知県・岐阜県。1月12日、主催団体のトヨタ・モータースポーツクラブが日本自動車連盟(JAF)に2019年のWRC開催申請書を提出することを発表。今後、ラリー運営計画、コース査察、今年11月のプレ大会を経て、国際自動車連盟(FIA)によってラリージャパンの開催が決定されることになる。
2019年の新規開催申請をした国はクロアチア、シンガポール、チリ、ニュージーランドとみられるが、FIAも日本での開催を望んでいるだけに実現への可能性は非常に高い。
「ラリーってなんだ?」と思う人がいるだろうから、ここで少々説明したい。
参加するクルマは市販車をベースに安全対策を施した車両。もちろんナンバー付き。道路交通法を尊種しながら一般道を移動、完全閉鎖された公道や林道で速さを競うスペシャルステージ(SS)で戦う。舗装路か非舗装路が舞台で、2019年に開催される大会は舗装路となる。
WRCは世界13か国で開催されており、そのスケールは大きく、木曜日夜のスーパーSSで始まり、金・土・日の3日間での総走行距離は1000kmを軽く超え、実質的競技区間となるSSは400km近くの規模となる。
参加するクルマは自動車メーカーが特別に作ったWRカーから、チューニング度合いの違う種々の市販車。最高峰のWRカー部門には、昨年はフォード、ヒュンダイ、トヨタ、シトロエンが参加。「道がクルマを鍛える」というポリシーを持つ豊田章男社長の決断で昨シーズンからWRCに復帰したトヨタは2勝を挙げ、ランキング3位となったが、2019年の大会では確実にトップ争いをしていることだろう。
私は自動車雑誌「ベストカー」編集長時代にも2004年から北海道で開催されたラリージャパンにチームを組み出場した経験もあり、WRCが中部地方で復活することを大変喜んでいる。参加した第1回のときは、プライベートチーム(山内伸弥/竹平素信組)ながら、一つのスーパーSSで世界のワークスチームに伍して総合8位に入ったことを思い出す。
初めて帯広周辺で開催された大会は4日間で沿道に24万人の観客を集めたというから、まさに熱狂。人口の多い中部地方開催ではどんなことになるか楽しみだ。
2019年も走るトヨタのワークスカー、ヤリスWRC
過去開催された北海道ではスバル、三菱、スズキの日本勢がワークスチームで参加。2019年の日本勢はトヨタだけになりそうだが、多くの日本人、日本車がプライベートで参加するだろう。
大会は2019年の11月中旬開催を目標としており、愛知県長久手市の元愛知万博会場のモリコロパークを起点に、私が得た情報では岡崎・新城市周辺/岐阜県・東美濃周辺/豊田市周辺で戦われることになる。名古屋市内でのスーパーSSも期待されるところだ。
ラリーは限られたSS観戦だけでなく、公道を走るクルマを手軽に応援できるだけに、F1より身近なモータースポーツとして、開催が非常に楽しみである。また情報が入り次第、レポートしていきたい。