設立から6年たった時点で、米国内に25の実店舗を展開。2018年にはさらに25店舗をオープンする予定だ。事業の収益性は高く、フォーブスの試算によると2017年の売上高は1億ドル(約110億円)を超える。
だが同社の新規店舗展開は、Eコマースのスタートアップとしては前代未聞のペースであり、リスクを抱え過ぎなのではという深刻な疑念が浮かび上がる。
アンタックイットは、ヘルスケア関連のコンサルティング企業に10年間勤めたクリス・リッコボーノが、2011年にニューヨークで設立した。きっかけは、裾出し(アンタック)で着てもカッコいいボタンダウンシャツがなかなか見つからなかった自身の経験だった。
立ち上げ当初、ラジオや機内誌の広告という通常とは異なるマーケティング手法を採り入れてみたところ、非常に好い結果につながった。最初の数年間は友人や家族から2万5000ドル(約280万円)のみ調達し、事業費の大半を収益から得ることを目指した。
リッコボーノは、88ドル(約1万円)というシャツの価格に見合うデザインと品質にこだわった。理想的なシャツの丈を決めるのに、彼は何百人という男性に聞き取り調査を実施した。ちょうどよいカットとフィット感が決まるまでには時間がかかった。シャツの丈を変更すれば、他の部分の寸法も変わり、従来型のシャツのデザインから逸脱してしまうからだ。
中国、ベトナム、モーリシャスで生産されている製品は出荷前に全数検査を受けている点を、同社は強調している。「ここまでする企業はいない」とリッコボーノは語る。
裾出しのシャツを作る企業はアンタックイットのみではない。ギャップやヴィニヤード・ヴァインズ(Vineyard Vines)もそれぞれのウェブサイトで、自社のシャツは裾出しでも着用できるとうたっている。
リッコボーノも、多くの企業が裾出しスタイルを宣伝しはじめたことを認識しているが、今のところ自分のビジネスに影響はないと考えている。「市場に出したのは私たちが一番乗りで、ひとつのブランドとなっている」