アンタックイットは2016年末の時点で5店舗を展開し、営業利益によって運営される急成長事業を築くという素晴らしい成果をあげた。昨年にはベンチャーキャピタルから初の資金調達を実施。クライナー・パーキンスから3000万ドル(約34億円)を調達した。その際の評価額は2億ドル(約230億円)だったと報じられている。
現在、同社のビジネスの80%がネット販売だ。実店舗は25か所あり、そのすべてが利益を上げているという。「現時点で私たちのメトリクス(指標)は非常に良く、ここで減速したりアクセルを踏み込まなかったりするべき理由はない」とリッコボーノは語る。今年、新たに25店舗をオープンさせるのもそのためだ。
店舗倍増計画は、とてもリスクが高いようにも見える。ベンチャーキャピタル企業マベロン(Maveron)の共同創業者ダン・レビタンは「短期間にこれほど多くの店舗をオープンさせ、失敗しないことは、かなり難しい」と指摘する。
有名なEコマースのスタートアップの中で、こんなにも速く事業を展開した企業はない。たとえばボノボス(Bonobos)とウォービー・パーカー(Warby Parker)はいずれも、2011年に最初の実店舗をオープンし、店舗数が25に達するまでに約5年かかっている。
2010年創業のアパレルメーカー、エバーレーン(Everlane)は、最近ようやく2軒目の店舗をオープンしたばかりだ。新興シューズメーカーのオールバーズ(Allbirds)は売り上げを伸ばしているものの、実店舗の出店場所については慎重に進めており、現時点での出店数は2軒だ。(前出のマベロン社は両社にも出資している)
リッコボーノは、自身のような猛烈に速いペースでの実店舗展開は前例がないことを認めた上で、「私たちはどんなことでも、すべて他とは違う風にやってきた」と語る。
店舗のオープンを急ぐと、不動産物件の選択や店舗のデザインを誤ったり、カスタマーサービスに支障をきたしたりする可能性があるが、同社は出店用地の選定を極めて慎重に行っているとリッコボーノは語る。ロケーションに関しては、歩行者の通行量調査を2度実施し、競合のデータ分析も行う。店舗デザインに関しては、オープンしてから微調整すればよいという考え方だ。