S&P500種株価指数は年初来およそ20%、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は29%、優良株で構成するダウ工業株30種平均は21%、それぞれ上昇した。ドナルド・トランプ大統領はツイッターへの投稿の中でたびたび、自らの就任以来続く株価の上昇を称賛。現政権が講じた複数の措置に言及してきた。
一方、止まらない株価の上昇に驚いている人たちもいる。米金融サービス会社チャールズ・シュワブの主席投資ストラテジストは、「株価変動率が記録的な低さにあり、地政学的な緊張や大規模な自然災害、米政府内の内輪もめ、金融引き締めが進む、といった状況があった中で、S&P500種株価指数が20%近く上昇すると見込んでいた投資家は、ほとんどいなかった」と述べている。
以下、年初来の株価上昇率が最も高かったS&P500銘柄の上位10社を紹介する(年初から12月21日の終値までで計算)。
1. アライン・テクノロジー(ヘルスケア)/143%
マウスピース型歯科矯正治療の「インビザライン・システム」を提供するアライン・テクノロジーは、同製品市場を事実上独占。年間売上高は2年連続で10億ドル(約1130億円)を超える見通しだ。売上高と利益はともに、2桁の増加を記録している。
2. NRGエナジー(電力)/122%
再生可能エネルギー発電事業者のNRGエナジーは、資産売却やコスト削減、取締役の刷新などを推進してきた。
3. マイクロン・テクノロジー(半導体)/109%
パソコンやスマートフォンなどに使われる半導体メモリーのDRAMやNANDフラッシュメモリーは、需要増とともに価格が急騰。マイクロンはその恩恵を受けている。
4. ウィン・リゾーツ(リゾート開発)/98%
マカオで運営するリゾートが好調であるほか、国内外で複数の施設の開業を計画中。投資家らの間では、同社の今後に対する楽観的な見方が強まっている。
5. バーテックス・ファーマシューティカルズ(医薬品)/97%
嚢胞性線維症薬の開発で大きな前進が見られたことを受け、アナリストらは同社の売上高が、2021年までに3倍程度に増加すると予想している。
6. ボーイング(航空機)/96.7%
航空機大手のボーイングは、需要に見合った商業用ジェット機の供給ができないという問題に直面している。だが、投資家らは向こう10年間に狭胴型737機を納入する予定であることに加え、生産能力の増強を図っていることを好感している。
7. DRホートン(住宅建設)/88%
米国最大の住宅建設業者は、好調な経済と需要の増加、失業率の低下、そして長期的な低金利から恩恵を受けている。
8. ペイパル(決済サービス)/87%
ペイパルの利用者数は2017年、およそ2億1800万人にまで増加した。合計決済件数は前年同期比で23%増えた。2015年にイーベイから分社化されたペイパルの時価総額は約900億ドルとなり、イーベイの2倍以上となっている。
9. エヌビディア(半導体)/85.1%
グラフィックス用のチップを開発・販売していたエヌビディアは、人工知能(AI)分野で急成長を遂げている。データセンター事業も好調だ。昨年はS&P 500企業の中で最も株価を上げた企業だった。
10. パルトグループ(住宅建設)/85%
好調な住宅市場に支えられている。受注済みの住宅の平均販売価格は、過去10年間の平均を上回る。