「自分のボックスを描く」 英王子の婚約者M・マークルの生き方

メーガン・マークル(Photo by Chris Jackson/Getty Images)


がんと向き合う

私が兄弟同然に親しくしているいとこのクリスは最近、非常に悪性の非ホジキンリンパ腫と診断された。この恐ろしい事実が判明したのは、彼が64日間にわたる「サンティアゴ巡礼」を終えた後だった。衝撃的な事実をのみ込むにつれ、クリスは「闘病」という考え方が自分の個性と合わないことに気づいた。クリスは自身の動画ブログで、次のように述べている。

「私は自分自身に『ここでの私の役割とは何か?』と問いかけた。その答えは、ただ楽しむこと。日々の美しさに目を向け、その道のりを楽しむことだ。(…)病気に立ち向かうとき、闘う精神を持つ人がいることは認める。だが、私のアプローチは違う。私は『現状を楽しむ』という気持ちで対処している」

クリスにとって、がんを患うことは闘いではなく、もう一つの巡礼なのだ。私は、兄弟の次に近しい人物が「がん闘病」の精神を受け入れないことに少し動揺してしまった。人は、がんになった人に「がんと闘う」言動を期待しているのだ。でも大丈夫。クリスは自身のボックスを描いているのだから。

キャリア

私の友人のダスティンは先日、一流国際企業のゼネラルマネジャーを辞職した。輝かしい経歴を持ち、何億ドルもの売り上げを生み出した彼女は、将来の経営幹部候補として出世の階段どころかエスカレーターに乗っていた。しかし彼女は、実は自分が幸せでないという事実に気づき、衝撃を受けた。

ダスティンは、こうしたキャリアを積む人(特に女性)に寄せられる文化的期待に反する驚きの決断を下した。今の会社よりもはるかに小規模で新しく、業界での地位も確立できていない企業の経営陣に参加したのだ。

現在ダスティンは美術分野で働いている。あらかじめ用意されたボックスに印をつけるのは過去の話。ダスティンは今、自分のボックスを描いている。

私のケース

私がメーガン・マークルの話に共感したのは、自分も同じ問題に直面していることを思い出させてくれたからだ。検察官としてキャリアを開始した私は、自分自身を表す際に「検察官」のボックスにチェックを入れていた。それから驚くような機会が舞い込み、大きな多国籍企業の役員として、全く違うキャリアに就いた。5年半にわたりそのボックスに印をつけ続けた末、レイオフ(一時解雇)によってそのキャリアは終わった。
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編集=遠藤宗生

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