VPNは中国政府のネット規制を突破し、グーグルやフェイスブック、ツイッター等の米国の大手サービスにアクセスする上で必須の手段となっていた。これまで中国ではおびただしい数のVPNアプリが公開され人気を博していた。
しかし、アップルは今年の夏からこれらのVPNアプリの中国での提供を停止し、開発元に対してはこれらのサービス提供が中国では違法であると述べていた。この措置はVPNサービスの提供者らに大きな打撃を与えた。
NordVPNと呼ばれるVPNサービス企業CEOのMarty P. Kamdenは次のように述べた。「アップルはVPNの提供停止がどのような影響を及ぼすかを理解していないようだ。中国には言論の自由を求めて戦う人々も多く、彼らにとってVPNは必須のツールとなっている」
そして今になり、2名の上院議員らがアップルにVPNアプリを復活させるように要請しているのだ。
「我々が聞いていることが事実であれば、アップルは中国政府の検閲に手を貸し、インターネットの自由を脅かしている」と彼らは書簡で述べた。
「アップルが中国政府の要求に沿うスタンスをとることで、中国に居る人々の表現の自由が損なわれている。中国政府は新たなサイバースペース法案で、ネット上の匿名性を認めない動きに出ている」
アップルが中国政府へ配慮を示すのはこれが初めてではない。アップルは以前、ニューヨーク・タイムズのアプリを中国のストアから排除し、iBooksやiMovies storeでも同様な措置をとった。
上院議員らはクックに対し、今回の禁止措置が中国政府の要請によるものであることを、明確にするよう求めている。その一方、議員らはアップルが自由主義を標榜していることを指摘しており、書簡の狙いはアップルを辱めることにあるのは明らかだ。
クルーズとリーヒらは、アップルが中国政府の要求を拒否することがどれだけ大変であるかの説明を求めており、中国政府から正式な要請があったのかどうかを明確にするよう促している。
彼らはクックに対し、中国でアップルが公開した声明の提出を求めている。また、アップルとして表現の自由を推進する意思や、政府の検閲を非難する声明の公開を求めている。クックはこれまでのところ反応を示しておらず、議員らは「今後の対応を楽しみにしている」と述べている。