ビジネス

2017.11.26 11:00

建物自体がアート! 次世代ハリウッドを牽引する現場に潜入


専門家と直接話ができる機会を提供

見た目だけではない。若い学生たちの生活を支える環境作りにも工夫が見られる。「テクノロジーだけではなく、コミュニティとコラボレーションを提供することが目的です」とブライト氏。

「現代の学生はインターネットの普及によって、実際の距離が離れていてもある程度のコミュニケーションは取れます。しかし私は、昔ながらのフェイス・トゥ・フェイスのコラボレーションに勝るものはないと思っているのです」

キャンパス内には、バーベキューが行えるテラスや、食べ物を持ち寄って映画の上映会が行えるスペースなど、学生の集まれるスペースが多い。これも学生間のコラボレーションを活発化させるための工夫の一環なのだろう。


テラススペース。バーベキューの設備もあり、学生同士の親睦を深められる。

エマーソンLAでは、各種のイベントも開催されている。大学での授業とは別にエンタメ業界やジャーナリズム、マーケティングの専門家を講師として招き、学生がそうした専門家と直接話をする機会を数多く設けているのだ。これら専門家の多くは、同校の卒業生だ。さらに、すべての学生には半期に8時間、コミュニティ・サービスが義務づけられている。何らかのボランティア活動、チャリティ活動、NPOでのお手伝いなどを通じて、ロサンゼルスのコミュニティの一員としての自分を育てていく。

「一人8時間だとしても学生は全部で200人、それが2学期分ですから、毎年3200時間をエマーソンLAがコミュニティ・サービスに貢献していることになります。これもロサンゼルスという街へのコミットメントを示す上で大切なことです」(ブライト氏)

業界へ次々と優秀な卒業生を輩出

新しいキャンパスが誕生して数年。学生にとってはもちろん、コミュニティにとってもポジティブな変化が起きてきているようだ。エンタメ業界のプロフェッショナル団体とのコラボレーションがその一例であろう。

即興コメディで有名なUplight Citizens Brigadeと組み、学生に即興コメディを教える授業が生まれた。もちろん単位も取得できる。コメディ作品を集めた動画サイトを運営するFunny or Dieとも一緒に授業を行っている。知名度の高いプロフェッショナルな団体とのコラボレーションが進むうちに学生の数も増えるようになったそうだ。


演劇のレッスンを行う教室。

海外の教育機関やその他のプロフェッショナル団体からの依頼も増えているほか、海外の学生を受け入れる「インターナショナルプログラム」も始動しており、エマーソンLAの注目度はますます上がっている。

ビジネスの世界はどこもそうだが、エンタメ業界においては特に動きが激しい。そのためエマーソンLAでは、業界の変化にいち早く対応するように環境を整えている。アメリカ国内で初めて、バーチャルリアリティが学べて単位が取得できる授業を作ったのは、ここエマーソンLAだ。

「私たちはこれからも、ロサンゼルスのコミュニティに卒業生をどんどん輩出していきたいと思っています。現在はクリエイティブな部分で活躍する人材がほとんどですが、いずれは管理部門でも活躍してくれる人材も育てていきたい。エマーソンの卒業生には映画監督や脚本家だけでなく、実はエグゼクティブも多いんですよ。いつでも私たちはロサンゼルスにいて、卒業生たちをしっかりとサポートしていきたいですね」(ブライト氏)

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text by Yuki Miyamoto photographs by Hirotaka Hashimoto

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