台湾当局のリリース資料によると、クアルコムは過去7年間にわたり特許技術のライセンス提供において顧客に排他的な契約を結ばせ、公正な競争を阻害してきたという。
クアルコムは各国で同様な訴訟に直面し、同社の最大のパートナーの1社であるアップルとの間にも訴訟問題を抱えている。クアルコムは半導体分野での優位性を利用し、世界中のスマホメーカーからライセンス料を徴収しようとしており、当局は同社のビジネスモデルに対する懸念を強めている。
クアルコムは長年にわたり、利益の大半をライセンス収入から得てきた。2016年のクアルコムの営業利益に占める、ライセンス収入の割合は約80%に達していた。
クアルコムは中国と韓国においても同様な罰金を課されている。昨年は韓国の当局が独占禁止法違反で8億5300万ドル(約960億円)の支払いを命じている。2015年には中国で罰金9億7500万ドルを宣告された。米国のFTCもクアルコムの同様な罪に対する捜査を進めている段階だ。
バーンスタイン・リサーチのアナリスト、Stacy Rasgonは「クアルコムが各国(米国や韓国、台湾)で直面する法的問題は同社に損失をもたらすことになる。ビジネスモデルや契約形態の是正も行われていない」と述べている。
クアルコムは今回の台湾当局の決定に不服を申し立て、法廷で争う構えだ。一方でアップルは今回の台湾当局の決定を、クアルコムと係争中の裁判を有利に進めるための材料にしようとしているとの見方もある。
台湾での裁判がクアルコムの事業にどのような影響を与えるかはまだ未知数だが、昨年のクアルコムの売上の12%は台湾からもたらされていた。台湾当局はクアルコムに対し、罰金の支払いに加え、契約条件の見直しを求めている。
「世界中の関係者がクアルコムを敵とみなし始めている。これまでのところ、クアルコムは全ての裁判で負けている」とRasgonは述べた。
クアルコムの株価は今年の年初から17%以上の下落となっている。