仏紙ル・パリジャンによると、新法の施行に向けた取り組みに着手した同国のマリソル・トゥーレーヌ前社会問題・保健相は、「美に関する実現不可能な理想の追求を促すことや、若者の間における拒食症の広がりを防ぐため、社会におけるボディー・イメージの問題に対応する必要がある」と主張していた。
英紙テレグラフによれば、オーストラリアでは2010年、ファッション業界が自主的に「行動規範」を策定。加工写真を使用しないか、使用する場合にはその旨を明記することをメディアに求めていたという。
米国にはこうした法律も行動規範もないが、ストックフォトサービスのゲッティイメージズや雑誌「セブンティーン」などのように、デジタル画像修整をしない方針を明確に掲げている企業はある。
写真は「全て加工済み」?
米紙ニューヨークタイムズは過去に、公式統計はないものの、「写真は全て、少なくともある程度はうそをついている」との記事を掲載した。記事はまた、写真家ピーター・リンドバーグがファッション誌の写真について語った、写っているのは「火星の物体のようなものだ」との言葉を紹介している。写真の修整は、それほど幅広く行われているのだ。
ネットメディアのバズフィードには、「火星からきた」人には男性もいることが分かる(29人の自撮り写真を紹介した)記事が掲載されている。また、雑誌「コスモポリタン」電子版の動画に登場した男性モデルは、「雑誌でも映画でも、画像が現実のものではないことは分かるはずだ」と明言している。このように、画像を修整する行為はあまりに広くまん延している。あえて「修整していない」と公言することで、ヘッドラインを飾る有名人がいるほどだ。
問題は、それでも多くの人たちが今でも、写真や画像に関するこうした現状を理解していないことだ。英国のファッションブランド「ニュールック」が市場調査会社ワンポール(One Poll)を通じて行った調査の結果によれば、調査対象とした同国の女性2000人のうち18~24歳の15%は、「雑誌に掲載されているセレブやモデルの写真は、その人たちの現実の姿を正確に反映していると思っている」。
一方、豪紙シドニー・モーニングヘラルドは2015年、美容に関する情報を専門に扱う beautyheaven.com.auが実施したアンケート調査の結果を紹介。それによると、回答者の66%は「雑誌が写真を修整することには反対」だが、57%が「ソーシャルメディアに投稿する自分の写真は、いつも修整している」という。