大企業からスタートアップ、個人まで7000以上のユーザーが利用している、IoT通信プラットフォーム「SORACOM(ソラコム)」。2015年9月のサービス開始以降、急速にユーザー数を増やしている。その背景には、冒頭のようなソラコムの玉川憲の考えがある。
「フェアで、フラットで、オープン」──、米アマゾンのクラウドサービス「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」の日本事業の立ち上げを主導した玉川ならではだ。
ソラコムがIoTビジネスの参入をいかに支えているかは、17年5月以降の導入事例を見てもよくわかる。
大阪ガスによる「ガス・電気の使用量を見える化する簡易データ計測サービス」、IHIの「ガスタービン発電プラントのグローバル遠隔運用支援」、ローソンの「物流トラックにおける動態管理」、コニカミノルタによる「外国人患者の診療業務をサポートするタブレット」に代表される大企業事例。ファームシップによる「コンテナ型植物工場の遠隔監視・制御」、トリプル・ダブリュー・ジャパンの「超音波で膀胱の形を捉え、排泄タイミングを通知するサービス」などのスタートアップ事例まで幅広い企業に幅広い用途で導入されている。
「情熱やアイデアを持つ人が挑戦できる環境が整えば、現在ある様々な社会課題は解決できると思うんです。だからこそ、スピードを大事にしています」
その言葉を、玉川率いるソラコムは実践している。通信コネクティビティ、セキュリティ、アプリケーションなど次々とサービスを提供。これまで開発されたサービスは14、新機能は44にのぼる。7月には、低消費電力で長距離通信できる、IoT向けの新しい通信規格「LPWA(ローパワー・ワイドエリア)」での対応規格を増やし、ユーザーの利便性を向上させ、大きな話題となった。
ソラコムは現在、「通信とクラウドをセキュアにつなぐプラットフォームであるというユニークさ」(玉川)を武器に、世界展開をはじめている。米シリコンバレー、ヨーロッパに進出済みで、世界を変える「IoT版のAWS」を目指す。