コードカッティングの流れを牽引するのは、ネットフリックスやアマゾンらが提供する、OTT(オーバー・ザ・トップ)と呼ばれるデジタル視聴形式の人気の高まりだ。
eMarketerの主任アナリストのPaul Vernaはこの動きを次のように解説する。「テレビとデジタルビデオの動きを比較すると、視聴者の多くはデジタルビデオに向かっている。視聴者数や視聴時間だけでなく、広告出稿費やコンテンツへの投資額といった指標も、このトレンドを裏づけている。消費者らは旧来のテレビ視聴からデジタルのプラットフォームに移行している」
eMarketerは調査結果を踏まえ、2021年までのコードカッティングの増加予測を上向きに修正し、コードネバー(有料ケーブルTVを利用した経験がない人)の数がコードカッター人口に迫ると見込んでいる。
今年の米国のテレビ広告出稿費の伸びはわずか0.5%にとどまり、716億5000万ドル(約7.9兆円)と見込まれる。この数字はeMarketerが今年のQ1に予測した727億2000万ドルという数字を下回る。結果として、米国における全メディアの広告出稿費にテレビが占める割合は34.9%まで減少し、2021年には30%以下になると予想されている。
eMarketerのシニアディレクターのMonica Peartによると、今年のテレビ出稿費の減少は、リオ五輪や米大統領選があった2016年の翌年ということからも予測されていたという。「しかし、テレビ広告費の減少は予想を上回るスピードで進んでいる。視聴者らの興味はストリーミングやOTTに向かっている」
コードカッターの人口は今年だけで2220万人に達し、2016年と比較すると33.2%の増加になった。eMarketerはこの数字を以前に1540万人と予想していたが、それを大幅に上回ることになる。一方で有料ケーブルテレビを一切利用したことがないコードネバー人口は今年5.8%増加し、3440万人に達するとみられている。