不正に高評価を獲得したアイテムはサイトでの露出機会を高め、正規の販売業者らに打撃を与えている。アマゾンのレビュー調査を行う「ReviewMeta」は独自のアルゴリズムでレビューを解析した結果、過去3ヶ月から4ヶ月にわたり、不審なレビューの増加を確認したと述べた。
「ここ数ヶ月で不自然な投稿件数が明らかに増加している。今年6月から8月にかけてのデータを精査すると、レビューの信頼性が大幅に低下している。これは疑わしいレビュー投稿が急増したためだ」と同社のTommy Noonanは述べた。
アマゾンでは昨年の10月まで、レビューの執筆と引き換えに商品を無料、あるいは割引価格で提供する“インセンティブレビュー”というプログラムが許されており、執筆者らは商品提供を受けたことを明確にした上で、レビューを書くことができた。
その後、不正なレビューが増加したことをうけアマゾンは、ほとんどのアイテムに関しインセンティブの利用を禁止した。しかし、その後も改善は見られておらず、ReviewMetaのデータはアマゾンのレビューの信頼性が、以前の半分近くにまで下落していることを示している。
不正行為を行う業者らはフェイスブックグループを通じて執筆者を募集し、高評価のレビューを書いた者に、ペイパル経由で商品代金を返金している。告知文の一例は次のようなものだ。
「米国限定のオファー。10投稿を募集します。"Knife sharpener 2 stage"の購入者に代金の全額を戻します。参加をご希望の方はメッセージでフェイスブックのプロフィールリンクをお送り下さい」
不正なレビューの多くは平均的なレビューよりも文章量が多く、製品の写真や動画へのリンクを含む告知文のような体裁をとっている。また、執筆者のなかには毎週、十数個の不審な投稿を行っている者もいる。金属製のにきび除去ツールや、植物用の照明、プラスチック製の製氷皿といったアイテムに、相次いで高評価のレビューを掲載したユーザーも確認されている。同じ人物が1週間の間に2種類のゲーム用ヘッドセットを購入し、2種類のラップトップ用のバッグも購入していた。
過半数が「疑わしいレビュー」
アマゾンは、全力をあげてこの問題に対処していると主張する。フォーブスの取材に広報担当者は「当社は人力および自動化されたシステムにより、誰が不正なレビューの背後に居るのかを突き止めようとしている」と述べた。
「不正なレビュー件数は全体からみるとわずかなものでしかない。しかし、たとえ一件であっても許しがたい行為であり、全ての不正レビューを発見し除去していく」と担当者は続けた。
担当者が言うようにアマゾンに掲載されるレビューのほとんどは本物だ。しかし、掲載されているレビューのほとんどは古いものだ。ReviewMetaのアルゴリズムは昨年投稿されたレビューの過半数に、疑わしいレビューのフラグを立てている。アマゾンの担当者は続けてこう述べた。
「当社はこれまで1000以上の訴訟を不正レビューの掲載業者に対して起こしてきた。商品提供と引き換えに、不正なレビューの執筆を求める販売者や製造者、それに関連する組織らに対しては、今後も法的手段に訴えていく」