一方、ウエスト・エルムの好調ぶりも著しい。ウエスト・エルムの他にキッチン用品ブランドのウィリアムズ・ソノマや家具ブランドのポッタリー・バーンなどを擁する親会社のウィリアムズ・ソノマ社の昨年の総売上高51億ドル(約5490億円)のうち、9億7200万ドル(約1050億円)がウエスト・エルムの売上だ。成長率も他ブランドより高く、この3年間は2桁の収益増を記録し続けている。
ウエスト・エルムはまた、B2Cオンライン販売の新興マットレスブランドを店頭で扱う小売の先駆けでもある。キャスパーやリーサなどの新興ブランドは、スプリングの入っていないマットレスを圧縮して梱包することで配送コストを抑え、手頃なマットレス通販ビジネスを実現したが、ウエスト・エルムはそれらのブランドに新たな販売経路を提供してきた。
「私たちは常にブランドを刷新する方法を模索しています」と同社のマーチャンダイジング部門のドン・マチョッカは話す。
ウエスト・エルムのかつてのパートナー企業であるキャスパーは、今年はじめにターゲットと提携し、6月からターゲット店頭での販売を始めた。ターゲットは当初、10億ドルでキャスパーの買収を試みたものの交渉が成立せず、7500万ドルを同社に投資することで落ち着いたと報じられている。
ウルフによると、リーサにもウエスト・エルム以上の規模を持つ小売チェーンからのオファーがあったという。しかし、ウルフはよりスタイリッシュで、社会貢献を企業理念に掲げるウエスト・エルムと組むことを選んだ。
ウエスト・エルムとの提携により、リーサはウィリアムズ・ソノマ傘下の他のブランドにもパイプができたことことになる。ウルフはポッタリー・バーンなどでの展開も視野に入れているのだろうか?
「そうなることを願っています。実際、ウィリアムズ・ソノマやポッタリー・バーンの人々を紹介してほしいと頼みました」とウルフは笑う。「でもその前に(ウエスト・エルムで)我々の力を証明しなければなりません」